福島第一原発事故の対応で毎日約3000人の作業に携わる人員が働いています。その作業は、冷却水の投入、管理、汚染水の保管、場所の確保作業に当たる作業に振り回されています。東京電力と経済産業省が燃料取り出し、廃炉の工程を早めるとの報道もされました。
しかし、実態は燃料取出しなどができるような作業実態、状況ではないとのことです。1,2,3号機の燃料は溶解し、どこにあるかも分からず、非常に放射線量が高く近寄ることすら出来ません。どこにあるかを確認することも出来ないし、そのような放射線量が高い燃料を取り出すことが事実上は不可能ではないかといわれています。チェルノブイリと同じような石棺にせざるを得なくなる可能性があります。
4号機の使用済み核燃料の保管プールからの取り出しをとにかく優先して行い、その後、1,2,3号機の燃料問題に取り組みになるとの見通しです。それすら、何年かかるか分からず、見通しすら立っていません。毎日働く3000人の作業員が浴びる放射能による被曝、健康被害は今後の作業、作業員の確保、廃炉への作業に深刻な影響をもたらすと予測されます。
今回の参議院選挙でも争点の1つとなっている安倍、自民党政権による原発再稼動、原発の輸出などは福島県民、避難者、国民の意思とは全くかけ離れた政治、政権であることを示しています。経済対策のみに絞り、景気がよくなるかもしれないとの幻想を振りまき、支持票をかすめとろうとしています。欲に目のくらんだ大手企業、経団連、富裕層の「僕」として自民党政権は奔走をしています。このようなおろかで、長期的な見通しがもてない政権、政治を変える必要があります。
短期間に再生可能エネルギーが主力になることができなくても、揚水発電(平均した電力使用に対応するための)、大型の蓄電池の開発と投資、送電網の整備と容量の拡大を行うことで、原子力に頼らないエネルギー構造を作り出すことは十分出来ます。
<北海道新聞社説>
再生可能エネルギーで発電した電気の全量買い取りが始まって一年。よちよち歩きだが、日本の太陽光発電の市場規模は世界一に躍り出る勢いにある。基幹電源に育てる気概を安倍政権に求めたい。
自然を利用して繰り返しつくることができるエネルギー。それが再生可能エネルギーであり、太陽光や風力、地熱、バイオマスなど、私たちの身近に存在する。石油や天然ガスなどの化石燃料を燃やす火力発電や、ウランを使う原子力発電とは異なり、資源に限りがない。
今なお放射性物質をまき散らす東京電力福島第一原発のような危険性がなく、温暖化の原因である二酸化炭素の排出量も少ない。
その再生エネで発電した電気の買い取りを東電などの電力会社に義務づけた固定価格買い取り制度が導入されたのは昨年七月。最新の二月末時点の統計では、発電を始めた設備が大型の原発一基分に相当する百六十六万キロワットに達した。
二〇一二年度の国内発電量に占める割合はわずか1・6%にとどまり、脱原発を宣言して20%を突破したドイツには遠く及ばないが、へこたれずに前へ進みたい。
国際エネルギー機関は、再生エネによる世界の発電量が一六年に石炭火力に次いで二位になるとの予測をまとめた。原発の二倍の発電量だ。クリーンエネルギーへの期待や、風力発電などの量産効果によるコスト低下が背景にある。
それを裏づけるように、日本でもシャープなどの太陽光発電メーカーの生産が、需要に追いつけないでいる。一二年度の国内出荷量は約三百八十万キロワットと前年度に比べ三倍近くに膨らんだ。米国の調査会社は、一三年に日本国内に新規導入される太陽光の発電能力が一二年の二・二倍に拡大し、市場規模もドイツを抜いて世界一位になるとの見通しを発表した。
しかし、送電網の容量不足を理由に、せっかくの潜在能力がそがれる事態が相次いでいる。北海道電力は二十万キロワットの風力発電買い取り枠に対し、応募が九倍にも達したため超過分を門前払いした。太陽光発電の枠にも上限を設けた。「もったいない」と言うほかない。
安倍政権は原発再稼働に傾斜するばかりで、再生エネを重視しているのか疑わしい。政府は送電網の整備費二百五十億円を予算化したが、電気を一時的に蓄える大型蓄電池の大量導入も視野に入れ、手厚い取り組みで再生エネを電力供給のど真ん中に据えるべきだ。