市場と権力(佐々木実氏著作)
竹中平蔵の経歴を通じて、彼が果たした日本の政治経済への影響などを分析した書籍です。自分はまだ読んでいないので、これから手に入れて読んでみようと思っています。その理由は、小泉構造改革、規制緩和の起案者、推進者として経済界、自民党、官僚機構への影響が非常に大きな人物だからです。しかも、彼は経済界、官僚、自民党政権と人脈でもつながっており、いろいろな形で政治経済を操っている人物の1人ではないかと思います。彼は学者というよりは、新自由主義を信奉し、実業界(人材派遣会社の最高幹部)でのビジネス行い、自らが富裕層、多国籍企業の利益最大化のために貢献することをその主たる役割と自覚しているように思います。安倍自民党政権が経済対策で衆議院、参議院選挙で多数派となり、政治の右傾化、経済のグローバル化、多国籍企業の利益最大化政策を次々と打ち出す背景に彼のような政商(沢山)が関与しているのだと思います。そして、一見もっともらしい学説、理論(実際は理屈)を安倍、自民党、多国籍企業集団に与えている点で、犯罪的な役割を担っているように思います。
竹中の経歴です。一見すると経済学者のようですが、学者というよりは政商と称したほうが適切なのかもしれません。また、アメリカの経済学者、政治家とつながり、アメリカの多国籍企業のグローバル化のために日本で、政治的に貢献しているとも指摘されています。その経歴は、慶応大学の教官(彼のことをたいしたことのない経済学者という学者、知識人も多い)、人材派遣会社パソナグループ会長、日本マクドナルドのシンクタンク研究員、アサヒビール社外取締役などを歴任して、小渕内閣時代に、アサヒビール会長の樋口氏会長、中谷巌会長代理とつながりました。それらを使って小泉政権で政権中枢に入り込み、郵政の解体、民営化を主導しました。これらの過程で政界への人脈形成しました。
一ツ橋大学卒業後、日本開発銀行に入行し、アメリカハーバード大学、ペンシルバニア大学で研究員、ローレンスサマーズ(クリントン政権で財務長官、ハーバード大学学長、世界銀行上席副総裁)、ジェフリーサックス(開発経済学、国債経済学)の知り合いとなっています。アメリカの経済政策の中枢を担う人物とつながっています。
――『市場と権力』の「おわりに ホモ・エコノミカスたちの革命」で佐々木さんは、経済学者の宇沢弘文氏の一文を引用しているそうです。ベトナム戦争について当時のマクナマラ国防長官が、もっとも効率的で経済的な手段によって増税もインフレも起こさず戦争を遂行しているのに、非難されるのは心外だと発言した。この発言は、価値判断からの自由を標榜し、公正さや平等性を無視して、効率性のみを追求する近代経済学の基本的な考え方と同じだと宇沢氏は述べた。公正さや平等性を無視し、効率性だけを追求する知識人が現実の政治と結びつくと、どうなるか。
<竹中氏の代表的な発言>
サブプライムローンに端を発した問題が顕在化し始めていたさなかの08年44月、BS朝日・朝日ニュースター放送『竹中平蔵・上田晋也のニッポンの作り方』にて「民営化した日本郵政はアメリカに出資せよ」との見解を語った。
「サブプライムローンそのものが悪いわけではない、リスク管理が甘く慎重に審査して貸しつけていなかった、一義的には金融機関が」経営に失敗したということ、銀行としては証券化してリスク分散したはずが、結果的にリスクが社会中に広がってリスク拡散になってしまった。それが今回のサブプライム問題の本質」「グリーンスパン前FRB議長が行ったことに問題があったという穿った見方も強いが、誰かに責任を着せるのではなく前向きに対処を考えていかなければいけない。問題は誰にも予想できなかったこと」と一連の問題を評した。
その上で「『民営化された日本郵政はアメリカに出資せよ』と申し上げたい。ある国が政治的な意図をもってアメリカの金融機関を乗っ取ってしまったら、アメリカ経済が影響を受けるのではという懸念も出てきている。日本郵政は民営化したので、今はSWFではない。だからアメリカから見ると安心して受け入れられる民間の資金。アメリカに対しても貢献できるし、アメリカの金融機関に出資することで新たなビジネスへの基礎もできる」と述べた。
<サマーズメモの概要>
先進国では、環境保護の意識が高まり、汚染の処理にかかる費用が高くなる。したがって、最貧国に汚染物質などを保管、投棄することでコストが低減できる。とした理論を発表して、世界各国から批判された。日本で、原子力発電所が過疎化に悩む地方、海岸地帯に立地していることにも通じる考え方。北海道幌延町の地下に核廃棄物の最終処分、保管をしようとすることにも通じる俗説。