日本自身が、内向きになっているので、自国の政権、政治状況を他国がどのように見ているかに関心が薄れているように思います。アジアにおける政治経済の地位が相対的に低下している表れでもあります。中国、インド、韓国、インドネシアなどの人口が多く、新興国といわれる国家が日本政治をどう見ているかは今後の日本の政治経済に大きな影響を与えます。
安倍、自民党政権が右傾化し、歴史改ざん、憲法改悪、靖国神社参拝の容認、自衛隊の国防軍化などを政策として掲げて、議会多数派になったことは歓迎できる現象でないことはあきらかです。安部自民党政権は憲法についてはアメリカに押し付けられたから改定したい。一方で、アメリカ軍の核、日米軍事同盟に依拠して、中国、北朝鮮などを軍事的に威嚇する姿勢をとっています。領土問題では、韓国、中国とも話し合いができず、軍事的な対応に傾斜しています。自衛隊の三軍に加えて、海兵隊を新設したいとの安倍、自民党政権の思惑は北東アジアの政治的な不安定化を増すばかりです。国家間の政治経済問題を話し合いにより解決することを拒み、軍事的な威圧で対応することは中国、アジア侵略戦争の苦い教訓をまったく学ばないものです。
<隣国の選挙結果への反応>
【北京】中国各紙は22日、参院選で自民、公明党の両与党が大勝し、衆参の「ねじれ」が解消されたことを受け、「回転ドア政治が一時的に止まった」などの表現で、日本の政局が少なくとも今後3年は安定するとの見方を示した。もっとも、「安定」は安倍晋三政権の長期化を意味し、各紙は日本の右傾化を懸念する専門家の声を集めている。
中国社会科学院の研究員は、同日付の共産党機関紙、人民日報で「(安倍首相は)国内の高支持率に乗じ、日本を“第3次右傾化”の過程に導いている。平和憲法を改正すれば、平和国家としての日本のイメージを損ねるばかりか、戦後の繁栄・発展の道を絶ち、周辺国との戦争の泥沼に入り込む」と主張した。
同紙傘下の国際情報紙、環球時報(電子版)も、同院の日本専門家5人の“座談会”を掲載。憲法改正の動きを牽制(けんせい)し、「もし、対中政策を根本から変えなければ、重要な十字路に立っている中日関係は歴史的な試練に直面する」と結んでいる。
【ソウル】自民党が圧勝した参院選について、22日付の韓国各紙は1面トップなどで「日本、今後3年は安倍(政権)天下」(中央日報)、「安倍(首相)、独走態勢に」(朝鮮日報)と大きく報じ、警戒感を示した。長期政権への対応が必要と呼び掛ける記事も多かった。
中央日報は「安倍(首相)はアジアの盟主の座を簡単に中国に渡せないとの立場で、今後北東アジアの力学構造が激動に巻き込まれる可能性がある」と指摘。「韓国も対日政策を全面的に再調整するほかなくなった」と強調した。
同紙はコラムで「安倍政権が右傾化を加速させるのは確実だ」とした上で、「日本を無視する戦略がいいのか。それとも首脳会談などで強力に反対の意を伝えるのが効果的なのか、考えねばならない。友人は選べても隣人は選べない」と韓国政府に冷静な対応を促した。