安倍、山口自公政権の経済政策は完全に破たんしました。当初はアホノミックス、現在は、ウソノミックスと言われるまでになっています。金融政策、新たな成長産業、年2%物価の値上げーーこの政策は機能せず、消費税率の引き上げも伴って、日本経済の低迷は深刻になっています。そのうえ、貧富の格差が一層拡大し、貧困層が爆発的に増加し、生活は一層困窮しています。
国内経済は、主要な原動力である消費が活発化しないことが最大の弱点です。消費の活発化は、全国民の生活が安定し、収入の増加、賃金・年金などの増加以外には実現しません。長期的には新産業構造を育成することが絶対的な条件でもあります。環境対策、再生可能エネルギー、安全な食料を生産する産業構造なども必要です。
いずれにしても国債の購入を通じた市中への現金供給で事態が打開できるはずもありません。長期的な展望をもった対策を検討しなければなりませんが、選挙対策と自らの政権寿命のみに終始するような人物と自民党政治では無理でしょう。
<東京新聞>予算8割、前倒し執行 参議院選挙へ景気対策
政府は五日、景気悪化を防止するため、二〇一六年度予算などに盛り込んだ十二兆一千億円の事業の執行を前倒しして、年度上半期の九月末までに八割程度を契約する目標を発表した。政府は夏の参院選を前に、新たな経済対策もまとめ、景気の底上げを図る方針。
前倒し執行する予算額は、一六年度予算が八兆八千億円、一五年度からの繰り越し分が三兆三千億円。
事業の内訳では、一般会計に計上した道路や港湾、農業農村整備などの公共事業、学校などの施設整備事業が計七兆七千億円。特別会計では、東日本大震災の復興事業や空港整備事業が計二兆二千億円。各高速道路会社や国立大学法人の事業などが計二兆二千億円。
一五年度補正予算に盛り込んだ低所得の年金受給者に三万円を配る臨時給付金の支給も急ぐ。
安倍晋三首相は五日午前の閣議で「予算を一日も早く、国民に届けなければならない。(一六年度予算の)年度内成立の実を上げるために、できる限り上半期に前倒し実施して効果を発揮してほしい」と述べた。
経済の現状に関しては「日本経済の回復傾向に変わりはないが、世界経済の不透明感が高まっているのは事実だ」と指摘。来月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)では、世界経済が最大のテーマになるとの認識を重ねて示した。
首相は三月二十九日の記者会見で一六年度予算について「早期成立が最大の経済対策だと言ってきた。可能なものから前倒し実施する」と表明していた。
◆人手不足で即効性疑問符
政府が二〇一六年度予算などの前倒し執行を目指すのは、低迷する景気を下支えするためだ。ただ事業の契約を前倒ししても、学校などの建設現場は人手不足。実際の着工は先になるとみられ、即効性はあまり期待できない。
麻生太郎財務相は五日の記者会見で、九月末までに公共事業などの予算計十二兆一千億円の八割の契約を目指すことを表明し、「八割やったというのは麻生内閣の時に一回。それ以外は記憶がない」と述べた。
ここ数年は、予算化した事業をできるだけ年度内に執行するため、上半期の契約率は七割程度という状況が続いていた。年度前半に契約率の目標を八割にするのはリーマン・ショックで世界経済が落ち込んだ直後の二〇〇九年度予算以来、七年ぶり。目標を一割引き上げることで、一兆円程度の経済効果が前倒しで出る計算になる。
現在の経済状況はリーマン・ショック当時ほど厳しくはない。しかし中国など世界経済の減速で国内景気にも陰りがみられ、政府は「景気の下振れリスクを考えないとデフレに逆戻り、とかになりかねない」(麻生氏)という危機感から対策を前倒しした。夏の参院選をにらんで景気を底上げしたい思惑もにじむ。
さらに政府は補正予算編成といった追加の経済対策も検討する。ただ、政府が景気対策に躍起になるほど、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の手詰まり感が、ますます浮き彫りになるジレンマを抱えることになる。