春風駘蕩

いつの時代でもこうありたい

総理の年頭記者会見

2006年01月05日 | 日記
4日朝、小泉総理の年頭記者会見をテレビでみた。就任以来5回目の新年を迎えた総理は、不良債権を処理し、
景気を回復基調に乗せるなど、これまでの実績を踏まえ、改革路線が正しかったことを強調した。そして、総理就任
以来4年間続いた、「成長なくして改革なし」か、「改革なくして成長なし」かの、いわゆる路線論争に決着をつけた
と胸を張った。

総理の会見は自信に満ちた力強いものだった。構造改革路線の正当性と昨年秋の総選挙圧勝による政権基盤の強化が
その背景にある。自民党総裁の任期切れが9月に迫っているのに、依然として国民の支持は高く、指導力を保持している。
これには驚くというしかない。ただひとつ、アジア外交、とりわけ中韓両国との関係悪化が懸念されているだけである。

中韓両国との関係改善を質した記者の質問に対し、小泉総理は次のように答えた。「外国の政府が一政治家の心の問題に
対して、靖国参拝はけしからぬというのは理解できない。精神の自由、心の問題について、政治が関与することを嫌う
言論人、知識人が、私の靖国参拝を批判することも理解できない。まして外国政府が心の問題にまで介入して外交問題に
しようとする姿勢も理解できない。精神の自由、心の問題は誰も侵すことのできない憲法に保障されたものだ」。

これに対する翌5日の新聞論調。朝日新聞の「社説」は「これほど理解力が足りない人が、内閣総理大臣を続けていたの
だろうか。そう思いたくもなるような光景だった。年頭の記者会見で、小泉首相は自らの靖国神社参拝に対する内外の
批判について、5回も『理解できない』を繰り返した。『理解できない』と口をとがらせるよりも、少しは『言論人』ら
の意見にも耳を傾けてはどうか」。

産経新聞の「主張」は「首相の靖国参拝は戦没者を慰霊するためのものであり、世界各国で行われている戦死者慰霊儀式
と変わりない。小泉首相が『外国の政府が心の問題に介入して、外交問題にするのは理解できない』と語った通りである。
中韓は靖国参拝という日本の国内問題に内政干渉する愚に気付くべきだろう」。

ところで、総理のいう「言論人」とはだれのことをさすのか。5日の朝日新聞に「渡辺・読売主筆、本社主幹と対談」
「首相の靖国参拝を『おかしい』と批判」という小さな記事があった。5日発売の月刊誌『論座』2月号で読売新聞の
渡辺恒雄主筆と朝日新聞の若宮敬文論説主幹が対談、首相の靖国参拝について渡辺氏が「軍国主義をあおり、礼賛する
展示品を並べた博物館(遊就館)を、靖国神社が経営しているわけだ。そんなところに首相が参拝するのはおかしい」と、
厳しく批判しているという記事だった。総理のいう「言論人」とは、案外、このへんにあるのではないだろうか。