徳島×大森日記

徳島でのお遍路やキタリスのテトとの思い出、東京での新しい生活、
サイベリアンのルイとの毎日を綴ります♪

お遍路12番札所 焼山寺

2006-07-15 13:31:59 | お遍路
 焼山寺山門

 焼山寺へのお遍路道に入ってすぐ、あたりは薄暗く、並んだ観音像やお地蔵さんがまるでタイムスリップしたかのような雰囲気を出していました。すぐに階段状の急坂になり、息が上がります。やっと一旦林道に出たところで、先に入っていった方が「きついですねぇ・・」と休んでいました。先に進ませていただいて、相変わらず急坂を進んでいると、突然視界が開けて、吉野川を一望出来るところに出ました。瑞山休憩所です。生憎この日は雲が低くたれ込めていましたが、とてもすがすがしい気持ちになりました。

 
     一旦林道へ              瑞山休憩所


 吉野川が見える!

 
  階段状の坂道は辛い        いろんな道しるべが・・・

 ちょっとの写真休憩のあと再び鬱蒼とした森の中を進んでいると、あたりに霧が降りてきて、幻想的な雰囲気です。そろそろ水飲み場があると地図にあり、期待していたのですが、水は流れていませんでした。すでに汗をかなりかいていたので、水の補給が出来ないのがちょっと不安。

 
   霧の中を歩く       水が流れていませんでした

 石畳のような坂道をあがったり、道は雨のためコンディションも悪く歩きづらいため、かなり体力を消耗しました。藤井寺を出るときにおじさんから「4時間くらいで着くよ」と言われていたんですが、とてもそんなハイペースでは歩けません。ようやく長戸庵に着いた時には、まだ4分の1か・・・とお参りのあとに行く予定の神山温泉までたどり着くのか不安になりました。でも、空に青空が見え始め、天気の回復は朗報です。

 
   石畳の坂道            なめ茸のようなきのこ

 
      長戸庵           やっと青空が!

 ただ黙々と歩き続け、途中尾根づたいのなだらかな道があったりと道の変化を楽しみつつ、下りになったところで、遍路道のほぼ中間地点、柳水庵に到着しました。水だ!と水場に近づくとちょろちょろとしか水が流れていません。これは深刻な事態かもしれないと思っていたところ、お堂の先に水道がちゃんとありました。冷たくはなかったんですが、これで後半分歩くことが出来るとほっとしました。あとで考えてみると、あそこで十分な水が確保できなかったら多分熱中症で倒れていたと思います。それほどこれからの道は大変でした・・・

 
    杉木立を歩く

 
   柳水庵

 柳水庵を出て一旦県道に出ると、お遍路休憩所がありました。比較的最近つくったらしい、畳の敷いてある小屋で、中には男の人が一人寝ていました。この過酷な道の半ばでうれしい施設ですね。これはあとでタクシーの運転手さんに聞いたのですが、ここまで来て歩けなくなった人に呼ばれることもある、とのことでした。再び山道に入ってただひたすら、杉の木立の中を歩き続けました。歩けども歩けども杉道は上に伸びて続き、夫が「エネルギーが切れてきた・・」とペースを落とし始めたとき、いきなり石の門柱が現れました。上に続く石段を見上げると大杉の前に神々しい空海の姿が・・・一本杉庵です。その厳かな雰囲気に、疲れ切った体でやっとここまで着いたとの思いがとても神秘的なものに感じるのかもしれません。神秘的といえば、どなたかのサイトにここでカメラのバッテリーが急になくなり写真が撮れなくなった、と書いてあったのですが、夫のカメラも二つともちょうどここでバッテリが切れて撮れなくなってしまいました。私のカメラは十分バッテリーが入っていたので問題なかったのですが、夫は「ここはエネルギーを吸い取る何かがあるのかも・・」と不思議がっていました。

 
これから一気に上り


階段の上に待っていらっしゃるのは・・・

  
        一本杉庵        727mの眺め

 一本杉庵でお昼を食べて再び焼山寺を目指しました。急な坂道を降り始めると十数名の高齢の方の山登り風の一団が上ってくるのに会いました。最後を歩いているご婦人がかなりきつそうで、「もうすぐ一本杉ですよ」と声をかけました。林道のところまで降りてくると、先ほどの一団の連れらしい数名の方が座って休んでいました。お話を聞くと、なんと藤井寺から焼山寺までを往復して戻っているところだそう!剣山登山に備えた、山登りの会の訓練らしいのですが、あまりの凄さに言葉を失いました。お遍路ころがしの急坂を、転ばないように気をつけながら、ひたすら降りていると、やっと、県道に出ました。

 
   うれしい励ましのお接待      まさにお遍路転がし

 残るは登り約1.8kmです。この道最大の難所らしいですが、あとちょっとなので、休み休み頑張れるだろうと思っていました。
 まず川で、どろどろになった、靴とズボンの裾をあらい、顔を洗って、山道に入りました。ここで事件は起きました。あれほど気をつけろと言われたヘビが出ないなと思っていたのですが、突然夫が「わっ」と叫びながら後ずさり。見ると、1mくらいのアオダイショウが目の前の道を横切って行きました。マムシじゃなくて良かったです。(^_^;
 
 石段のような急坂がひたすら続き、息が上がります。もう少しだとの思いからハイペースになってしまっていたのだと思いますが、次第に足が上がらなくなり、朦朧としてきました。足を止めて息をつこうとすると目の前が白くなっきて、音が遠くなってきました。完全にオーバーヒート状態です。風もなく、蒸し暑く、なかなか体温が下がらず、さすがにやばいかな、と思ってしまいました。残りの水を半分飲み干し、とにかく一歩ずつ歩こうと、杖に体重を預けて進みました。何も考えず、ただ目の前の一歩に集中する、自然と、頑張れの声が出てきました。どのくらい歩いたのだろうと、ぼんやり考えていた時、突然林道に出て、ベンチとあと1kmの道しるべが出てきました。まだ800mしか歩いていなかったのかと、ベンチに座り込み休憩をとりました。
 
 そこからは緩やかな砂利の林道を進むこと約500m。とうとう、あと464mの道しるべと左に続く参道が見えました。すでに気分は晴れやかになり、そこにあった水場で水を飲みました。ここの水はとても冷たくて気持ちよく、ついつい頭からかぶってしまいました。(^_^;でも生き返りました。

 
    やっと着いた!      冷たくて気持ちいい命の水

 参道を進み、山門のところまでくると、たくさんの参拝者に出会いました。歩いてきたのは一目瞭然なので、皆さんお疲れ様と声をかけてくれます。山門の前でここまで無事来れたことを噛みしめていると、お遍路2周目、という年配の男性が笑いながらすたすたと歩き去って行きました。
 焼山寺は思ったより大きなお寺で、本堂の前に大きな杉の木が並び圧倒されます。日曜日のせいか、車での参拝も多く、賑わっていました。参拝を終え、山門を出たところで、藤井寺を出たところで追い越してしまったあの年配の方に会うことが出来ました。ちょっと甘く見ていたね、とお互い笑いあい、それにしてもあの山登りの一団はすごい!と感心しあいました。

 
   樹齢300年の大杉           花の形のお手水舎

 
     焼山寺本堂            池でした

 バスの時間が迫っていたため、焼山寺から町営のバス乗り場まで一気に駆け下りました。途中、衛門三郎の杖が巨大な杉になったという、杖杉庵や、梅の木の下を通り過ぎ、お遍路駅に着いたところで、今回は打ち止めとなりました。
 あとちょっとのところでバスには乗り遅れてしまったため、神山温泉までタクシーをお願いしました。途中、数人のお坊様が休んでいるのを見て、藤井寺で先に10数名出発したと聞いた方々はこの方々だったんだろうと思いました。

 
麓まで一気に下ります

 
杖杉庵 元祖お遍路と言われる衛門三郎の杖が巨杉になったという

 
   梅の木の下を歩く          崩れそうな巨石


鍋岩 ここで打ち止めです