齋藤大悟 : Daigo Saito

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高橋智史写真展『素顔のカンボジア』

2011年02月26日 | イベント

高橋智史写真展/ココラボラトリー

      

フォトジャーナリスト・高橋智史さんの写真展『素顔のカンボジア』が、

秋田市大町の「ココラボラトリー*ギャラリー」で開催されています。

カンボジアに移住し、現地の人々とのつながりの中で得た取材レポートが、

秋田魁新聞、また、ウェブサイト「さきがけ on The Web」の中で、

約4年間に渡って連載されてきました。

その連載写真を中心に展覧されている約40点を、

高橋さんのお話も交えながら、じっくり拝見させて頂きました。

                 ◆

生きるために、ゴミ山で目的の物をさがす人々。

会場の入り口には、その姿を収めたモノクロ写真が展示されていました。

高橋さんが大学生の頃に撮影されたもので、これまでの活動の原点を象徴していました。

以前、スマトラ沖の大津波による自然災害を取材した際、

「ただ現地に行って、表面的なものを捉えて帰って来た気がした。」

「表面的なものからは何も伝わらない。」

カンボジアへの移住の意味は、まさにそこにあると言われていました。

「現地の方々とは同じ目線にはなれないけれど、これからも寄り添って行きたい。」

「ボランティア、NGO活動がやりたかったんです。」

「写真とは、人々と自分とをつなぐツール。」

展示されていた写真からは、

カンボジアの、現地の人々の肉声が聞こえてくるように感じられ、

「取材の前日は機材を一切持ち込まず、コミュニケーションのみ。」

そのコミュニケーションによって初めて捉える事の出来る、

現地の人々の肉声のように感じられました。

                 ◆

内戦で家族を失った女性の悲しみと憎しみ。

目を輝かせ、無邪気に遊ぶ子供たち。

伝統を受け継ぎ、民族舞踊を披露する女性。

病気を受け入れ、共に生きようとする姿。

家族のため、そして誇りを持って闘うキックボクサー。

農作業を始め、現地の人々が関わる仕事や生活の営みが、

そして、高橋さんが様々な場面で捉えた素顔のカンボジアが、

「写真」を通して迫って来ます。

会場の中に一点、夕暮れ時の田園風景を捉えた写真がありました。

「暗くなるまで、ここには牛飼いの少年の姿があるんです。」

「こんなに穏やかな風景でありながら、 ここにも争いの歴史があったのかと思うと

考えさせられる・・・。心に染みる光景です。」

貧困層と言われながら、しかし、幸せそうに輝きを放つ人々。

絆、友情という言葉が、ごく自然に溢れるその空気。

高橋さんご自身に問題提起し、テーマを与え続ける現地の風土、そして人々に、

「これからも寄り添いたい。」とする高橋さんの眼差しが印象的でした。

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