齋藤大悟 : Daigo Saito

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長倉洋海さんギャラリートーク

2011年02月28日 | イベント

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写真家・長倉洋海さんのギャラリートークが、

『 私のフォトジャーナリズム 』と題して、土門拳記念館で開催されました。

冒頭、フォトジャーナリズムは「しつこさ」にあると言い、

いい写真が撮れるまでしつこく、カメラを持ってしつこく迫るとの事でありました。

お話は、2001年9月に暗殺された、アフガニスタンの国防大臣であり軍司令官の、

マスードさんの事を中心に進められ、また、現地における取材での出来事や、

長倉さんがマスードさんに惹かれた理由、その人間性、更には、「写真」に対する

考えなど、一言一言を実直に、そして思いを込め、お話を頂きました。

                    ◆

「マスードは自分の価値観を人に押し付けない。」

現地取材で共にした、マスードさんの人間としての魅力を語る長倉さん。

「自分が一生懸命に生きる事で神が喜ぶ。」

「勝敗ではなく、その中でどう生きたか、いかに生きるが大切。」

という、マスードの信仰・思想にも触れられ、

その人間性の素晴らしさを熱く淡々と話されました。

読書が大変お好きであるとのマスードさんは、

おかれている母国での状況下、国防大臣として、軍司令官として、

大変な重圧の中にあっても、時間をみては読書をしていたそうで、

スライドショーで紹介された、穏やかな時間の中で草原の丘の上に寝そべって

読書をするマスードさんの写真は、見ていて大変印象深いものがありました。

また、長倉さんがこれまでの取材の中で感じた事についても、

「今、この瞬間の世界を示す写真は撮れないが、撮り続ける事で見えてくるものがある。」

「何度も現地に足を運ぶ事で、その度に新しい発見がある。」

「そして、どんなに取材を重ねても、世界のほんの一部しか知らない事を痛感する。」

気付かなかった事、知らなかった事を伝える写真が撮りたいという長倉さんは、

写真について、” 写真は音も動きもないが、見る者へ想像する事を教える。” と言います。

写真の素晴らしさと共に、その想像力の大切さも強く語り、

その言葉は僕にとって大変貴重なものとして、心に深く浸透してくるように感じられました。

                    ◆

長倉さんは、人間を撮る事で「自分」が見えてくると言います。

また、色々な人々と出会い、その逞しさや美しさを目の当たりにし、

「希望」というものを与えられたと言います。

写真集に収められた人々の姿を拝見すると、

一生懸命に生きる事で見えてくるもの、そして、人々の輝きというものが、

長倉さんの想いものせて、静かに強く伝わってくるように感じられました。

「マスメディアが伝える程、世界は残酷ではなく、絶望的ではない。」

「伝えている部分は薄っぺらな世界である。」

「多くの人々との出会いの中で見てきた逞しさや美しさは、まさに希望である。」

原稿など無く、常に私達を見ながら語られたその言葉1つ1つは、

現地の実情と共に、僕にも「希望」を与えてくれました。

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