にかほ市のモンベルに立ち寄った際、「なぜ山に登るのか」というタイトルに惹かれて「岳人」を購入した。「なぜ海を撮るのか」と同義に思えたからである。窓の外に鳥海山を望み、外出すればすぐ眼下に日本海を望む環境に育った私には、山も海も辺りの自然も、すべて「ひとつ」という認識があるから、「山=海」という関係はごく自然に成り立ってしまう。飛躍すれば、「山=海=私」とも言えるかも知れない。
計算式とは違い、私の「=」の関係は崩れやすいものだと思う。この「=」を保ち続けたいという思いが海にレンズを向けさせているのかも知れないと、岳人を手につたない思いを巡らせた。初冬の夜長、充実した読書ができた。