子供のころには翼が有った・・・
そんな、気がする。
空を飛ぶ夢。
よく見ていたね。
子供の時ほど、高く、高~く飛んでいた。
夢だけじゃなく、背中のどこか、肩甲骨の脇あたり・・・
ギュッとでもない、クンッとでもない、何か不思議な力を込めたら飛べる?
そんな気がしていた。
高いところから飛び降りても、その翼は開かないけど、高いとこから墜ちちゃった時には、きっと翼は開く・・・
ま、現実にその翼が開いた事はない。
夢の中で空を飛ぶ高さは、年々歳と共に低く成って行ったけ。
仕舞には、地面スレスレに飛ぶのがやっとに成っていた。
そんなとき、僕は天国から落ちてしまった天使の子供に出会った。
いたずら好きの天使の子、いたずらが過ぎて、落ちてしまった。
落ちたら、天使だから飛んで帰ればいい・・・
でも、その天使の子、まだ余りにも幼すぎて、天国まで帰る力が無かった・・・
地上で大人の天使に成るのを待つか?
でも、その天使の子はやっぱり幼すぎて、天国に帰らなければ消えてしまう。
僕は、最後の飛ぶ力を使うことにした。
地面スレスレにしか飛べない僕が、ありったけの力を使って、その天使の子を天国まで送り届ける。
電柱よりも高く、ビルよりも高く、僕は天使の子を抱きかかえて飛んだ。
山よりも高く、雲よりも高く、僕は飛んだ。
あの時から、僕は一度も空を飛ぶ夢を見てはいない。