昼休みに、サッポロ一番をすすっておりましたら、店の前に軽自動車が一台止まった。
久々のお客様。
逃しちゃなるまいと、上着を羽織って飛び出した。
持ち込まれたのはbrotherコンパルDX、1976年製のミシンだ。
お客様は、私と同年代か5~6歳若いか?どちらにしても自分のミシンとして買ったには年代が合わない。
聞けばお母さんから引き継いだミシンだからどうしても直したいのだと。
どこかが焼き付いたのか、何かを噛み込んだのか、ミシンが固まって全く動かない。
天蓋やベルトカバーやあちこち外して見たけど、どこで固まっているのかが解らない。
「ふむ・・・」と唸って考えこむと・・・
「あっ!」とお客様が声を上げた。
「なんとか自分で直せないかと分解した時にバネみたいな部品が落ちたんだけど、それ持ってくるの忘れた!」と・・・
でも、その部品は今のこの固まった状態とは関係なさそうだ。
100%直ると断言は出来ないけど、何とかやってみるとお預かりすることにした。
「お願いします。お母さんからもらったミシンだからどうしても直したい。ここに来る前に別のミシン屋に行ってみたけど、そこはミシンを見てもくれないで新しいのの買い替えばかり薦めてきたけど、私はどうしても直したいんです。」
そう言われたら美心屋としては直さないわけにはいかないだろう。
お預かりはしたものの、「はて?」である。
のびてすっかりぬるくなったサッポロ一番をすすりながら考えた。
上軸や下軸の焼き付きでは無さそうだし、釜に折れた針とか糸くずが噛み込んでるわけでも無さそうだけど・・・
考えながら、昼寝でもするかと横になろうかと思った時に「もしかして・・・」と思いついた。
上着を羽織って作業場に駆け込み、マイナスドライバーで針棒抱きネジをゆるめてみた。
針棒は動かないけどはずみ車や釜は動く。
焼き付いていたのは針棒だった。
私は車を走らせてお客様宅に向かった。
直らないならしょうがないけど、直りそうだからついでに落ちた部品も付けてあげなくちゃ。
直りそうだから部品を取りに来たと告げると、お客様は満面の笑みを浮かべて喜んだ。
「うれしい!うれしい!」とぴょんぴょん跳ねまわって子供のように喜んでいる。
今どきこんな喜び方を出来る大人がいることが、私も何だか嬉しくなる。
がっちり焼きついた針棒を、とにかく緩めないことにはどうにも成らない。
潤滑油を吹き付けつつ、ここは力技でハンマーで叩いたりもしながら何とか針棒引き抜いて、焼き付きを磨いて組み立てなおし、他のところもきっちり整備しました。
いつもなら数日はお預かりしておくのですが、お客様の喜ぶ顔が見たくって。
その日の夕方に整備して綺麗に磨いたミシンをお届けした。
玄関先でまた飛び跳ねて喜んでもらえて、美心屋冥利につきると言うものだ。
ミシン屋としては新しいのを買ってもらいたいところだけど、美心屋としてはお客様の笑顔が一番の儲けか・・・
修理代はもちろん頂きましたけどね。
久々のお客様。
逃しちゃなるまいと、上着を羽織って飛び出した。
持ち込まれたのはbrotherコンパルDX、1976年製のミシンだ。
お客様は、私と同年代か5~6歳若いか?どちらにしても自分のミシンとして買ったには年代が合わない。
聞けばお母さんから引き継いだミシンだからどうしても直したいのだと。
どこかが焼き付いたのか、何かを噛み込んだのか、ミシンが固まって全く動かない。
天蓋やベルトカバーやあちこち外して見たけど、どこで固まっているのかが解らない。
「ふむ・・・」と唸って考えこむと・・・
「あっ!」とお客様が声を上げた。
「なんとか自分で直せないかと分解した時にバネみたいな部品が落ちたんだけど、それ持ってくるの忘れた!」と・・・
でも、その部品は今のこの固まった状態とは関係なさそうだ。
100%直ると断言は出来ないけど、何とかやってみるとお預かりすることにした。
「お願いします。お母さんからもらったミシンだからどうしても直したい。ここに来る前に別のミシン屋に行ってみたけど、そこはミシンを見てもくれないで新しいのの買い替えばかり薦めてきたけど、私はどうしても直したいんです。」
そう言われたら美心屋としては直さないわけにはいかないだろう。
お預かりはしたものの、「はて?」である。
のびてすっかりぬるくなったサッポロ一番をすすりながら考えた。
上軸や下軸の焼き付きでは無さそうだし、釜に折れた針とか糸くずが噛み込んでるわけでも無さそうだけど・・・
考えながら、昼寝でもするかと横になろうかと思った時に「もしかして・・・」と思いついた。
上着を羽織って作業場に駆け込み、マイナスドライバーで針棒抱きネジをゆるめてみた。
針棒は動かないけどはずみ車や釜は動く。
焼き付いていたのは針棒だった。
私は車を走らせてお客様宅に向かった。
直らないならしょうがないけど、直りそうだからついでに落ちた部品も付けてあげなくちゃ。
直りそうだから部品を取りに来たと告げると、お客様は満面の笑みを浮かべて喜んだ。
「うれしい!うれしい!」とぴょんぴょん跳ねまわって子供のように喜んでいる。
今どきこんな喜び方を出来る大人がいることが、私も何だか嬉しくなる。
がっちり焼きついた針棒を、とにかく緩めないことにはどうにも成らない。
潤滑油を吹き付けつつ、ここは力技でハンマーで叩いたりもしながら何とか針棒引き抜いて、焼き付きを磨いて組み立てなおし、他のところもきっちり整備しました。
いつもなら数日はお預かりしておくのですが、お客様の喜ぶ顔が見たくって。
その日の夕方に整備して綺麗に磨いたミシンをお届けした。
玄関先でまた飛び跳ねて喜んでもらえて、美心屋冥利につきると言うものだ。
ミシン屋としては新しいのを買ってもらいたいところだけど、美心屋としてはお客様の笑顔が一番の儲けか・・・
修理代はもちろん頂きましたけどね。