「私たちを異次元に連れ出す夢の世界」のタイトルで書かれたパネルに興味を持ちました。
「『写真は嘘』『嘘の嘘は本当』…。篠山は、写真を真実の記録と考えるのではなく、むしろ虚と実のあいだにはからずも生まれるリアリティにこそ写真の力があると考えます。そんな篠山にとって虚構の世界、フィクションの世界を撮ることは、二重、三重に興味深い行為です。虚と実の複雑な交錯が、思いもよらない力強いリアリティをもたらすことがあるからです。歌舞伎、ディズニーランドといった夢の世界が抗いがたいリアリティを持ち始めるのは、篠山自らがその中に飛び込み、虚構の世界をさらに『写真』によってフィクション化することで『真実』を浮かび上がらせているといえるでしょう。」
「虚と実のはざまに写真の力がある」という言葉は、哲学的な印象ですが、何となくわかるような気がしました。
“芸術の秋”を堪能したひとときでした。
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