たーさんの気ままなシニアライフ!

待望のグランド・ジェネレーション(人生最上の世代)へ。
ギター・ピアノ・英会話・囲碁など第二の青春を謳歌中!

遅咲きのデビューを果たした地元作家!

2012年02月21日 | 読書

 地元生活情報誌のインタビュー記事で、「2006年、室町時代の京の都を舞台にした長編ミステリー『闇鏡』で遅咲きのデビューを果たした地元作家、堀川アサコさん。」を知りました。青森高校卒業。私の後輩になります。<o:p></o:p>

 彼女は、次のとおり語っています。「小説の中の世界は、私にとっての“遊び場”。読んで、面白がってくださればうれしい。」<o:p></o:p>

 2作目に出した「たましくる イタコ千歳のあやかし事件帖」は、昭和初期の弘前を舞台に、主人公である少女の面影を残すイタコ・千歳とその補佐役の幸代という美女2人が怨念めいた不思議な事件を次々と謎解きしていくミステリー小説。津軽出身、在住なればこそ書けたとのこと。<o:p></o:p>

 これまでの作品を読むとともに、今後の活躍を期待したいと思います。

 


宮部みゆき著「火車」を読んで

2012年02月13日 | 読書

 この小説は、推理小説&経済小説である。ローン地獄に落ち、他人になりすまし逃亡者となる新城喬子。これを追う休職中の刑事本間俊介。登場人物たちの微妙な心情が実にきめ細かく描かれている。<o:p></o:p>

 冒頭のエピグラフは、ずばり小説のタイトル。「『火車【かしゃ】』火が燃えている車。生前に悪事をした亡者をのせて地獄に運ぶという。ひのくるま。」<o:p></o:p>

 お気に入りの表現が随所に見られた。<o:p></o:p>

 「智は目を伏せた。そうして、また足をぶらぶらさせた。目に見えない『不機嫌』というスリッパを、そうやって脱ぎ捨てようとしているようだった。」<o:p></o:p>

 「碇は、そば屋のレジでフランス料理並みの代金を請求されるような顔をしていた。」<o:p></o:p>

 「二階の踊り場は、たたみ半畳分にも満たない。そこでワンクッションおくだけで、あとは細かなコンクリートの段々がつらなっており、その下には、硬い灰色の舗装道路が待ち受けている。じっと見おろしていると、なにか落としてみたいような気分になる。騙し絵のなかにはまりこんだようであり、少しでも身体を前に傾けると、魂が胸からこぼれ出てしまいそうだった。」<o:p></o:p>

 「指示されたとおりにして、一時間以上も待たされた。長くは感じなかった。ただ、そのあいだに、おそろしく肩が凝った。圧力鍋に放りこまれて蓋をされたような気がした。自力で容疑者から自供をとったときのことを思い出した。あのころに戻ってしまったような気がした。」<o:p></o:p>

 「だけど、蛇は思ってるの。足があるほうがいい。足があるほうが幸せだって。そこまでが亭主のご高説。で、そこから先はあたしの説なんだけど、この世の中には、足は欲しいけど、脱皮に疲れてしまったり、怠け者だったり、脱皮の仕方を知らない蛇は、いっぱいいるわけよ。そういう蛇に、足があるように映る鏡を売りつける賢い蛇もいるというわけ。そして、借金してもその鏡がほしいと思う蛇もいるんですよ。」<o:p></o:p>

 「倉田は言った。かすかだが、声の調子が狂っていた。まるで、その話をするためには、日常使うことのない、まったく調律されていない鍵盤をひっぱりだしてきてたたかなければならないのだ、というように。」<o:p></o:p>

 「智は考え込んだ。まだ多いとは言えない語彙の範囲内で、できるだけ正確に伝えようとしているのだろう。たとえば、ある晩突然、窓から火星人が飛び込んできて、五分以内に、智の学年では習っていない連立方程式の解き方を説明しないと、さらっていって動物園にいれられちゃうぞと脅されたとしても、これほど真剣に頭をひねることはないかもしれない。」

 

<o:p></o:p>

<o:p></o:p>


宮部みゆき著「魔術はささやく」を読んで

2012年02月05日 | 読書

 宮部マジックにかかってしまいました。素晴らしいエンターテイメントだ。いろいろな小説が、映画化やテレビドラマ化されるのがわかるような気がします。<o:p></o:p>

 この作品は、1989年(昭和64年)に、日本推理サスペンス大賞を受賞したが、彼女が最初に持ち込んだ出版社では認められず、原稿を返された。どの業界でも産みの苦しみが付きまとうものだ。<o:p></o:p>

 考え抜かれた構成に驚かされました。良い言葉や良い文章に触れ、吉田松陰の名言を思い出した。「読書最も能く人を移す。畏るべきかな書や。」<o:p></o:p>

 催眠術(後催眠現象)の呪文「逃げろ」で三人の女性が自殺した謎。クライマックスは、主人公日下守が、自分の父親を殺した吉武浩一を、呪文「東京は今夜も霧ですね」を唱えて死に追いやるか。<o:p></o:p>

 日下守が少年時代に、引退した金庫屋高橋吾一との出会う。この出会いが、後のストーリーの展開に、大きな効果をもたらす。<o:p></o:p>

 「守は絶句した。より子が耐え忍ばなければならなかったことを考えると、心がかかとまで落ち込んでいくのを感じた。」<o:p></o:p>

 「僕にはそれ、ラグビーの全日本チームがオール・ブラックスと対戦したときの様子に思えるな。」<o:p></o:p>

 「じいちゃんが思うに、人間てやつには二種類あってな。一つは、できることでも、そうしたくないと思ったらしない人間。もう一つは、できないことでも、したいと思ったらなんとしてでもやりとげてしまう人間。どっちがよくて、どっちが悪いとは決められない。悪いのは、自分の意思でやったりやらなかったりしたことに、言い訳を見つけることだ。」<o:p></o:p>

 次に、カート破産を素材にした「火車」を読み始めました。

 

<o:p></o:p>

 <o:p></o:p>


今月は「宮部みゆき月間」に決めました!

2012年02月02日 | 読書

 2月は、「宮部みゆき月間」に決めました。山本周五郎賞を受賞した「火車」。私のハンドルネームが入った「堪忍箱」。謎のキーワードめぐるふたつの追跡行「レベル7」。霊験お初捕物控第2弾「天狗風」。ミステリー戯曲のような「R.P.G」など全部で15冊。<o:p></o:p>

 昨年5月に、鷲田小彌太著「シニアの読書生活」を読みました。その中で、次の2つの文章が目に止まりました。<o:p></o:p>

 一つは、「シニアになっても、仕事を続けていきたい。それも、定年前と同じ仕事ではなく、新しい仕事で力を尽くしたい。こういう人は、本を読む。ジュニアの指針になりたい。 こう思える人は、自分の体験や経験におさまらない多様な世界の事柄を熟知するために、読書に励まなければならない。」 

 二つ目は、「いい言葉は、いい文章は自然に手に入るわけではない。いい言葉、いい文章と慣れ親しまなければならない。普通は、読書による他ないのである。」

 


宮部みゆき著「龍は眠る」を読んで

2012年01月30日 | 読書

 「蒲生邸事件」に続いて、「龍は眠る」を読みました。超能力を持って生まれた二人の少年がたどる運命を描いたミステリーで、これまでミステリーはいろいろ読みましたが、新鮮味があり、興味深い小説でした。<o:p></o:p>

 超能力者(サイキック)がいると言えるかどうかわかりませんが、預言者、占い師、霊媒師(恐山イタコの口寄せ)などはそれに近い存在かなと思います。<o:p></o:p>

 宮部さんは、好んで冒頭にエピグラムを載せています。<o:p></o:p>

「この能力は完全に隠されている。さもなければイカサマの海に氷山の一角をのぞかせながら、数世紀にわたって潜在しつづけるということはとうてい考えられない。」<o:p></o:p>

                                        デーヴィット・R・コングレス<o:p></o:p>

                                           「あばかれた影」<o:p></o:p>

 このエピグラムは、モダンホラー作家スティーヴン・キングが「キャリー」のなかで創作した書名とのこと。念動能力(テレキネシス)を持つ少女キャリーが主人公です。彼女の作品は、スティーヴン・キングの影響を大きく受けているようです。<o:p></o:p>

 林真理子さんが、「宮部みゆきは松本清張の長女である」と褒めています。松本清張の影響を受けていない推理作家はいないと思いますが、宮部さんは大きく影響を受けたと思います。<o:p></o:p>

 次は、「魔術はささやく」を読みたいと思います。<o:p></o:p>

 また、新聞連載の「ペテロの葬列」を読んでいます。これは、切り抜いて宮部みゆきファンのEPOMさんにプレゼントしたいと思います。

 

<o:p></o:p>


宮部みゆき著「蒲生邸事件」を読んで

2012年01月18日 | 読書

 久し振りに小説を読みました。ニコニコさんの親友(EPOMさん)お勧めの一冊で、宮部みゆき著「蒲生邸事件」。<o:p></o:p>

 序章として、「ススメ ススメ ヘイタイ ススメ」とあり、おやっと思いました。ストーリーの中心となる二・二六事件を暗示した言葉だったようです。<o:p></o:p>

 読み始めた時は、不思議な小説だと思いました。久し振りに小説を読むこと。著者が推理作家と思っていたところ、タイムスリップというSF的要素が入っていたことへの戸惑い。事件につながるプロローグがやや長く感じたこと。<o:p></o:p>

 読み終わっての感想は、「面白かった」です。彼女の他の作品も読んで見たいと思いました。<o:p></o:p>

 平成4年2月26日、高校生尾崎孝志が時間旅行者平田次郎と、56年前の昭和11年2月26日の二・二六事件が勃発した日にタイムスリップする。場所は、二・二六事件が勃発した麹町・永田町に近い蒲生邸。陸軍大将蒲生憲之の自決に遭遇し、その謎を追うことになる。<o:p></o:p>

 時間旅行者平田次郎が語る。「歴史が先か人間が先か。永遠の命題だな。だけど私に言わせれば結論はもう出てるよ。歴史が先さ。歴史は自分の行きたいところを目指す。そしてそのために必要な人間を登場させ、要らなくなった人間を舞台から降ろす。だから、個々の人間や事実を変えてみたところでどうにもならない。歴史はそれを自分で補正して、代役を立てて、小さなぶれや修正などをすっぽりと呑み込んでしまうことができる。ずっとそうやって流れてきたんだ」というあたりから、俄然興味がわいてきて、一気に読み終えました。<o:p></o:p>

 孝志が、父親の太平に語る。「俺ね。過去を見てきたの。それで判ったんだ。過去は直したってしょうがないものだし、未来のことを考えて心配したって無駄なんだってことがね。なるようにしかならないんだから。だけど、だからこそ俺、ちゃんと生きようと思ってさ。言い訳なんかしなくていいようにさ。そのときそのとき、精一杯やろうってさ。だから父さんは学なんかなくっても、そのときそのとき精一杯やってきたんだからいいんだよ」 この言葉は、著者が一番書きたかったこと、伝えたかったことではないかと思いました。

 

<o:p></o:p>