自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

グロース日記2日目その5

2012-08-21 06:15:04 | グロースキャンプ
第一休憩ポイント。



ようやくたどり着きました。


天気は回復し、強い木漏れ日が差しています。



ボクはこの場所が大好きです。



岩場が始まる前のスポットで、苔がむして、森の香りがする場所です。


杉の葉をほんの少しむしって、手のひらでごしごしこすり合わせると、いい香りがします。


苔に鼻を近づけると、少し青臭く決していい香りとは言えない匂いがします。



でも、森の空気を胸いっぱいに吸い込むと、気持ちがいい。



いろんな自然の香りが混ざりあって、森はボクたちを待っていてくれるのです。



毎年、この場所で実習を行います。


音いくつ?あるいは、サウンドマップ。



どちらも、子どもたちが静かに森を感じる素敵な時間です。



今年は、音いくつ?をユッキーがリードしていました。



「自然の中に音が聞こえてきます。目を閉じて、両手のひらを開きます。音が聞こえるたびに指を折って数えていきましょう。」


子どもたちは、一斉に目を閉じます。



少し上向き加減の子どもたちの顔の真剣さに打たれます。



子どもたちの指が同時に折れていくこともあれば、一人だけ指が折れていくこともあります。



「何が聞こえているのか?」興味深々です。




ボクは、そんな子供たちの表情が好きで、カシャカシャとスマホのシャッターを押し続けます。




「風の音」

「鳥の鳴き声」

「葉っぱのこすれる音」

「虫が飛ぶ音」


子どもたちが、聞こえた音を発表していきます。


ずいぶん前ですが「隣の人の息」って答えた、子どももいました。


子どもたちの繊細な捉え方に感激したのを覚えています。





「写真を撮るシャッターの音も聞こえたでしょ?」


ボクがそう聞くと、キッパリと


「それ、自然の音じゃないもん」


その通りでした。


彼らが耳を傾けていたのは、自然の音。


余計な音には、意識はむけてはいないのです。


意識を向けて、声(音)を聴く。



子どもたちの声に対しても、そんな風に耳を傾けなければなりません。



また、子どもたちに学ばせてもらいました。



休憩を終えて、岩場が始まります。





きれいな青空が広がりました。





グロースを始めて間もないころ、「第2班行方不明事件」に気づいたのは、このポイントでした。



山から、血相を変えて降りてきたニシさん(オヤジ)。



「ここは第2班かい?」


3班に付き添っていたボクは、嫌な予感がしました。


「いや、3班だけど」


「2班がいないんだよね。」


1班に付き添っていた富さんにトランシーバー(当時はケイタイはありません)で確認すると、休憩ポイントに2班は確かにいたという。


「ここから先の岩場は、クマの巣があるんだ」



ニシさんのこの恐ろしい言葉に、ボクは氷つきました。



3班のイントラに、そのまま登頂を目指してもらい、ボクとニシさんは岩場をそれぞれ別ルートで捜索です。


ボクが探したのは、その名も岩石山。


どんどん岩が大きくなっていき、とても一人では岩には取り付けなくなってしまいます。



時間はどんどん過ぎていきます。


トランシーバーは、近隣のタクシー無線と混線するし、2班は無線がつながらない・・・ついには、誰とも連絡が取れなくなってしまいました。


心は大騒ぎなのに、山はかぎりなく静かだった。




動きが取れなくなったボクは、岩場の上にへなへなと座り込んでしまったことを覚えています。



結局、事なきを得たのですが、この岩場を通るたびにその時のことを思い出しいます。






今年は、ナキウサギのものと思われる、フンを見つけました。


なかなか姿を見せてはくれませんが、確かにここに生息しています。


頂上を目指して、歩き続けます。









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