10年前の為替相場を思い出してみると、1ドル99円で、前年と比べ20円、円安が進み、トヨタ自動車の経営者は「業績が改善すれば、従業員に還元するのは当然です」と賃上げに前向きな姿勢を示しました。
為替相場は2020年に1ドル=105円、2021年に113円、昨年2022年と比べ2円、円安が進んで149円で、トヨタ自動車をはじめ自動車メーカーの業績が急回復しています。好調な業績を追い風に、従業員の賃金も上がるのではないかと期待が高まっていますが、私の考えを述べたいと思います。
日本型賃金制度である退職金や一時金にも反映される「ベア」に踏み込むのか、踏み込まないのかということが注目されます。企業業績が改善すれば、ボーナスなどの一時金増額で対応するという企業の姿勢があります。
今や、働く人の4割が非正規労働者という時代で、退職金や一時金の制度がない労働者の賃金増は、定期昇給ではなくベアという方法しかなく、岸田政権にとって経済の好循環、消費拡大につなげることができるか、正念場ではないでしょうか。
欧米では「退職金」や「一時金」という制度がありません。もちろんアジアの国々でも聞いたことがありません。したがって退職金や一時金に相当する金額は、定期的に支払われている賃金に含まれているという考え方です。
海外生産が進む企業の従業員(外国人)は、支払われる賃金に「退職金」や「一時金」という日本型賃金制度を取り入れている企業は少ないと思います。
国内で日本型賃金制度をどこまで、いつまで維持するのかは、経営者と労組の駆け引き次第ということでしょう。日本型賃金制度を改めるチャンスではないかと思うのです。つまり海外の賃金制度を無視できないということでは・・・・。
三重県・御在所ロープウエイにて 2017年7月29日撮影