温暖な冬と言われていますが日々寒空が続き、冷たい北風が吹きつけます。こんな夜は熱かんがよろしいようで、先人は『現状の「苦」を悲観せず、また楽観せず、謙虚に前向きに生きるように』を、『酒でものんで「楽」に変えるべし』と言い、教えを勝手に都合よく解釈し、台所に置いてある日本酒を温めて飲んでいます。
こんな時、酒の肴は主に魚介類ですが、居酒屋では必ずしも魚類ばかりではなく、肉や野菜も肴と呼びます。熱かんが出てくれば、次はツマミで、八代亜紀のヒット曲『舟唄』の歌詞にもあるように、素朴な酒の肴の一つとして挙げられるのが「スルメ」です。
ところが近頃は物価の上昇でスルメは高く、財布の都合で塩分が多いという理屈をつけて避けています。今は懐かしいスルメは、あの硬さでかみ切りづらく、あごが疲れるぐらいかまないと飲み込めません。したがって時間がかかり、かめばかむほどうま味が増し、満腹中枢が刺激され、スルメダイエットの効果があるとも言われてきました。
スルメの様に、長くかみしめる人生を送るためには、スルメに代わるツマミといえば、鶏や豚の軟骨を串焼きでツマミにしています。歯が丈夫でなければなりませんが、軟骨に含まれるビタミンやミネラル、タンパク質などの栄養を含んでいて、「骨や歯の健康維持」「精神の安定」「老化防止」などの健康効果がある食材と言われています。
理屈はそうであっても、酒を飲んでしまえば「どこ 吹く風」。何でも良くなるツマミは、可哀そうでなりません。