異端の金融機関と言われるスルガ銀行が話題である。もう一つ変わった金融機関が四国の高知にある。「信金界のヘッジファンド」「土佐のはちきん信金」とも言われる高知信用金庫だ。高知市に本店を置き、従業員281名、店舗数31、預金高7,478億円(18年9月期)中堅信用金庫である。
高知信用金庫の特徴は異常なほど低い預貸率である。2018年3月期預貸率は8.48%、信金平均預貸率は約50%である。預金7,448億円に対し、貸出金はたったの623億円しかない。しかも貸出金の8割は住宅ローン、カードローンで504億円、企業向け貸出は97億円(15%)を占めるに過ぎない。不良債権の内訳は、破たん債権、破たん懸念債権は合計13億9千万円、100%引当の不良債権は少ないが、企業向け貸出がすくないから当然だ。
運用の主体は有価証券投資で、上場企業の株式投資、社債投資で5,522億円を占め、預金の74%を有価証券投資に回している。貸出先が少ないため、リスクウエイトも少なく、自己資本比率は43%と高い。総資金利ザヤは0.48%と高い。ちなみに信用金庫業界の総資金利ザヤの中央値は0.08%、加重平均では0.12%である。
投資先は九州電力2.33%、東北電力1.89%の株式を保有し、それぞれ6位、7位の大株主である。一方、地方債、国債への投資は少なく、更に非上場の中小企業への投資額は4億円余りと僅かで、主体は電力等の株式、社債などディフェンシブ銘柄中心である。
当然ながら、収益源も有価証券の受取利息と売買益である。2018年3月期純益は107億円を計上する。預金高9千億円の地元の第二地銀・高知銀行の純益17億円、預金高2兆5千億円の地銀・四国銀行の純益71億円を大きく凌駕している。ここが「信金界のヘッジファンド」と言われる所以である。但し、株式投資中心のため利益変動リスクは大きく、2016年3月期純益185億円、2017年3月期純益88億円と毎年変動幅は大きい。
理事長は2011年6月、52歳で女性として初めて理事から理事長に就任した山崎久留美氏。山崎氏は窓口業務からの信金たたき上げ職員である。証券投資経営の発案は今や90歳近くになる四国財務局官僚OBの山本正男現会長である。実質、有価証券投資の実権を把握しているのは山本会長と思われる。
今年4月からは、働き方改革の実践として信金として初めて全店舗で窓口昼休み制度を導入する。また信金連合会提出アンケートおいて、渉外人員比率はゼロとなっている。本当に渉外人員が存在しないのか不明であるが、重要視されていないことは事実であろう。
低金利の長期化、貸出先不足、地方経済衰退と金融環境の厳しい中、ユニークな経営実践であるが、地元経済振興の金融機関の在り方としては問題なしとは言えない。
高知信用金庫の特徴は異常なほど低い預貸率である。2018年3月期預貸率は8.48%、信金平均預貸率は約50%である。預金7,448億円に対し、貸出金はたったの623億円しかない。しかも貸出金の8割は住宅ローン、カードローンで504億円、企業向け貸出は97億円(15%)を占めるに過ぎない。不良債権の内訳は、破たん債権、破たん懸念債権は合計13億9千万円、100%引当の不良債権は少ないが、企業向け貸出がすくないから当然だ。
運用の主体は有価証券投資で、上場企業の株式投資、社債投資で5,522億円を占め、預金の74%を有価証券投資に回している。貸出先が少ないため、リスクウエイトも少なく、自己資本比率は43%と高い。総資金利ザヤは0.48%と高い。ちなみに信用金庫業界の総資金利ザヤの中央値は0.08%、加重平均では0.12%である。
投資先は九州電力2.33%、東北電力1.89%の株式を保有し、それぞれ6位、7位の大株主である。一方、地方債、国債への投資は少なく、更に非上場の中小企業への投資額は4億円余りと僅かで、主体は電力等の株式、社債などディフェンシブ銘柄中心である。
当然ながら、収益源も有価証券の受取利息と売買益である。2018年3月期純益は107億円を計上する。預金高9千億円の地元の第二地銀・高知銀行の純益17億円、預金高2兆5千億円の地銀・四国銀行の純益71億円を大きく凌駕している。ここが「信金界のヘッジファンド」と言われる所以である。但し、株式投資中心のため利益変動リスクは大きく、2016年3月期純益185億円、2017年3月期純益88億円と毎年変動幅は大きい。
理事長は2011年6月、52歳で女性として初めて理事から理事長に就任した山崎久留美氏。山崎氏は窓口業務からの信金たたき上げ職員である。証券投資経営の発案は今や90歳近くになる四国財務局官僚OBの山本正男現会長である。実質、有価証券投資の実権を把握しているのは山本会長と思われる。
今年4月からは、働き方改革の実践として信金として初めて全店舗で窓口昼休み制度を導入する。また信金連合会提出アンケートおいて、渉外人員比率はゼロとなっている。本当に渉外人員が存在しないのか不明であるが、重要視されていないことは事実であろう。
低金利の長期化、貸出先不足、地方経済衰退と金融環境の厳しい中、ユニークな経営実践であるが、地元経済振興の金融機関の在り方としては問題なしとは言えない。