『花鳥風月』雑記

素朴に質素に優しくいきたいね

麗しのうつわ

2010年03月06日 | 美術
出光美術館チケット

・・・白い釉のなかにほのかな赤が浮き出して、冷たくて温かいように艶な肌に菊治は手を出して
触れてみた「やわらかい夢のようでいい志野は僕らも好きですね」・・・と川端康成の『千羽鶴』の
一節にあると、桃山時代の志野焼陶器展示解説の一部にありました。

出光美術館の『麗しのうつわ』(日本のやきもの名品選)を観て来ました。

《投稿写真は全て出光美術館HP、他からの転載です》

志野山水鉢(桃山時代)

焼物について陶器と磁器の区別すら出来ず全く無知で落語の「井戸の茶碗」「猫の皿」「厩火事」
などで骨董品の中でも特に難しいものであるらしい程度の興味ですが、遥か五百年も前の先人達の
作品を観ていると、当時の様子が想像できるようで、美の源泉を探っている様な気分にもなります。


銹絵染付松波蓋物(尾形乾山 江戸時代中期)

(上の写真とは違いますが、、、)
江戸中期、尾形乾山の「色絵百人一首和歌角皿」(十客)は和歌が上の句と下の句を別々の角皿に
絵と共に書かれてある、会席をしながらカルタ取りのようにして楽しんだのでしょうか?

赤々と火影に照らされた色とりどりの器を前に詩歌や絵画を語り合いながら笑いざわめく人達の声が
聞こえて来るようでした。

銹絵竹図角皿(尾形光淋・乾山 江戸時代中期)

尾形乾山の兄は江戸中期の琳派の絵師、尾形光淋なんですね、「銹絵竹図角皿」は兄の光淋が
絵付けをして唐の詩人、杜甫を引用して弟の乾山が焼き上げたもののようです。   

色絵芥子文茶壷(野々村仁清 江戸時代後期)

芸術や美術はとんと解せない無粋者ですが、美しいものを観たり凄いものに感動したり、、、

本物を観ていると、それを描いたり作ったりしている人の息づかいが伝わって来るようです。

恵まれた幸せな時を過している実感が湧いてきます。『麗しのうつわ』良かったです。





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