吉田定男(さだお)くんは、さだおの「だ」を取って、みなからダーくんと呼ばれてました。
ダーくんは4人兄弟の三男、下にダーくんにしては可愛い妹がおりました。
ダーくんは動物好きなのでワンコを飼いたいのですが、4人も子供を作ってしまった両親がそれを許しません。
それでも動物好きな優しいダーくんはあきらめません。
そしてある日の放課後に私を家に誘うのです。
パクちゃん、可愛い動物飼ったから見においでよ? でもね、ワンコじゃないよ。
え? じゃあ猫?
ん〜 ニャンコでもないよ。
それ以外に動物が思いつかない私は興味津々でダーくんちに行きました。
薄暗く狭い子供部屋に二段ベッドがふたつ。
だって4人兄弟だからね。仲がいいね。
でも、動物の影かたちも鳴き声も聞こえません。
そしてダーくん、目を輝かせて嬉しそうに二段ベッドの布団をめくってみせるのです!
ほーら、パクちゃん、めんこいべ?
なんとなんと
めんこいハツカネズミが10匹くらい布団に埋もれいるのでした。
ダーくん、やるぅ!
さて、そのハツカネズミはどこから仕入れたかというと、お兄さんがテキ屋でして、昔、縁日でね、チュー太郎レースっていう、ハツカネズミの徒競走みたい賭け事があったんだよ。
地元での縁日を終わってテキ屋のお兄さんが違う街に行くのにハツカネズミが邪魔になったんだね。
さてさて、時は流れて朴竜20歳の頃に帰省して街をぶらぶらしていたら
あ、パクちゃん?
え、ダーくん?
ダーくん、マイルドヤンキー!
横にいる可愛い女性もマイルドヤンキー!
あ、これ、カミさん。彼は幼馴染のパクちゃん。お互いご挨拶。
可愛い奥さんの腕には赤ちゃんが眠っております。
ダーくん、赤ちゃんの頭を愛おしそうに撫でながら
パクちゃん、子供はめんこいぞー
パクちゃんも早く結婚して子供作ればいいしょ!
よくよく見ると可愛い奥さんのお腹が大きいんですねー
ダーくん、20歳でふたりのパパになるんだね。すごいなぁと感心しながら、
遠い昔、二段ベッドの布団をめくってくれた少年を思い出したのでした。
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さて、パクちゃんはどの子でしょうか?