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【映画批評】あの傑作映画の前日譚がまさかの冷めたピザ化?

2024-06-06 00:05:50 | 映画

映画『マッドマックス:フュリオサ』ファイナル予告 2024年5月31日(金)公開

 

【ネタバレなし(でも微バレあり)】

 

最初に映画館で予告編を見た時からずっと

心待ちにしていた、あの名作マッドマックス

怒りのデスロード、の前日譚になるという

「フュリオサ」をIMAXシアターで鑑賞して

きました。

 

どうも周りでは前日譚にしては面白いとか

番外編だし前作超えは期待してなかったけど

想像以上だった、みたいななんか奥歯に物が

挟まったような言い回しで今作を評価する向き

もあるような。

でもそういうのはちょっと違うんじゃないかと。

ということでそういうエクスキューズ的なのは

なしの率直な感想を米国の有名なトマトのでは

なくピザの具合で個人的に表現するとしたら、、

冷めたピザというような感じだったでしょうか。

 

前作でのバトルシーンでは全く貢献しなそうな

意味がよく分からない謎の太鼓を叩く部隊や

ピョンピョンしながら火炎放射器付きギターを

奏でるロッカー?が登場するなどなど、行って

戻ってくるだけの単純ストーリーなのに、もう

訳が分からないほど全てがエモかった傑作映画

の続きものな上に、公開前の試写を見た著名人

の皆様も絶賛しまくっていたので、まさかこんな

尻すぼみな出来だったとは。

 

有名人の皆さんには色々なお立場もあるだろうしどう受け止めるかは人それぞれ

 

まず最初のガッカリポイントは前作にもなかった

物語がぶつ切りの章に分かれているという構成。

おかげで章をまたぐ度に著しく映画的没入感を

削がれるという。

これって配信ドラマの総集編を見せられているの?

っていう気分にも。

どうも今作は次に挙げたガッカリポイントも含めて

敢えて観客がカタルシスを得難いよう仕向けている

んではないか疑惑すら。

 

次に疑問を感じたのは、物語の終盤に遂に2大勢力

がぶつかり合うという今作の一番の見せ場になるで

あろう、文字通りクライマックスとなるはずだった

戦闘シーンをまさかの描写スルー。

いやいやいや、そこは一番盛り上がりそうだし

逃げずに見せてよと。

今作は上映時間が2時間30分ぐらいあったのだから 

他をもっと削ってでもやって欲しかったところです。

 

主人公フュリオサの描写についても不満が。

前作の設定を微妙にぼかし美化して描いてたせいで

今作の後のお話になる「デスロード」で何故あそこ

まで主人公フュリオサがあの人物を憎んでいたのか

弱くなってしまいました。

今作は前日譚を描くという特性上、過去に何があった

のかの答え合わせ的な側面もあるのですが、描写を

避けたというのは、ここ最近の風潮に迎合して

しまった感も。

別に直接的に描かなくても、いくらでもやりようは

あったと思うのですが。

 

フュリオサ関連でもう一つ。

今作には途中から主人公と心を通わせるある人物

も登場するのですが、そこはもうちょっと丁寧に

扱って欲しかった感も。この辺は最初から最後

まで中途半端さを感じてしまいました。

姿を真似するぐらい主人公に影響を与えていた

人物なのに。

主人公をより強固に正当化する為、物語の都合に

合わせてのちょい出し人物っていうのが否めず。

でもそのおかげでお墨付き的フラグが立ったという

のに最後のあの人に対する決着の仕方はどうにも

煮え切らない文字通りお花畑的だったのには

監督に何かとんでもないのが取り憑いてしまった

結果ではないかとすら。

 

最後に何気にこれが一番効いていたと思うのを。

今作は前作デスロードに続く物語ということで

ラストに結構な尺をとって懐かしいデスロードの

強烈で深く脳裏に焼きつくようなカットやシーン

が色々出てきていたのですが、思い返してみて

今作にはそれらに匹敵するような強く印象に残る

ようなのがあっただろうかと。

結果的に前作と比べてアクションシーンの密度や

クオリティが下がっていたのではないかと。

これが今作の評価を決定的にしてしまう大きな

要因にも。

 

実は今作の企画と内容は前作制作中から既に存在

していたらしく、内容が膨らみすぎた為、今回の

ような前日譚として分作化されたらしいのですが

ここまで完成が遅れたのは監督が取り分を巡って?

ワーナーと揉めたりして制作が遅れたりした影響も

あったのかもしれません。

流石のジョージ・ミラー監督も、前作から10年近く

経過し世界情勢も大きく変化し、自身も年齢を重ね

思想や作風なども変化してしまい、デスロードの

時のようなテンションでは撮れなかった可能性も。

 

もしデスロードのすぐ後にこの映画の制作に着手

し完成していたら、今作はもっと違った内容の形

で世に出ていたかもしれません。

できる事ならそっちの世界線での「フュリオサ」

を見てみたかった、なんて勝手な事も言いたく

なってしまうほど、今回の映画は終始残念な感じ

が拭えませんでした。

 

前作ファンとしては、もしこのシリーズに続きが

あるのなら次作では冷めたビザではなく、痺れる

ぐらいの熱々のやつでお願いしたいです。



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