(今日は定例のテニスの日でしたが、「急な運動は控えた方が良い」との医師のアドバイスもあり、大人しく家で片づけをしていましたのでブログは言葉に関する書き込みです。「ヒト」の付く、少し古い言葉です。)
ひととなり(人と成り):
最近の学生には、「ひととなり」とはと聞かれて、隣の人と答えるケースも多い様ですが、「人+と+成る」の名詞形である「人と成り」で、‟生まれつきの性質“を意味します。
古くは、「人と為り」とも書かれていたようですが、この方がピッタリ感はありますね。
ひとはだぬぐ(一肌脱ぐ):
「ひとはだぬぐ」も現在の若い人には難解な言葉で、
・喧嘩を始める様子
・風呂に入ろうとする様子
・弓を射る様子
・人肌になるように、衣類を脱ぐ様子
等と答える人が多い様です。
しかし、チコチャンではなく、年寄りは知っています。
「一+肌脱ぐ」で、“ひとつ、本気になって助けよう”という意味です。
この場合の「肌」は、皮膚のことではなく、物を覆い包んでいるもののことで着物を表し、和服の袖から腕を抜いて、上半身をあらわにすることを「肌脱ぎ」という。
力仕事をする時は「肌脱ぎ」の姿になることから、他人のために本気で力を貸すことを「一肌脱ぐ」と言うようになったようです。
また、「一」は、「ここは一つ」「ここは一丁」など、これから行動を起こそうとする時に用いる語の「一」ということです。
また、着物の両方の袖を脱いで自由に動けて力が十分出せるようになるという「諸肌を脱ぐ」という言葉もありますので、「一肌脱ぐ」の「一肌」を「片袖」と解釈する人も居るようですが、これは間違いで、「諸肌を脱ぐ」の対となる語は、「一肌脱ぐ」ではなく「片肌脱ぐ」です。
とすれば、「一肌脱ぐ」場合は、「片肌」でも「諸肌」でも、或いはは実際には肌を脱がずに気持ちを込めて助けることでも良いのでしょう。(まさ)
<※ この「身近な言葉の語源」については、「語源を楽しむ」(ベスト新書 増井金典著)や「語源由来辞典」などを参考にさせていただいています>