老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

言葉の語源など  その(31)  ~喫緊(きっきん)~

2019年08月25日 20時08分04秒 | 面白い言葉や語源など
 一昨夜に引き続き、昨夜も結構涼しくて、エアコンの助けを借りないまま、窓を開けてままゆっくりと眠ることが出来ましたが、このまま秋に移行してくれればありがたいのですが・・・

 所で、最近政治家や公務員が「喫緊の課題」とかいいうような使い方で、良く遣う言葉に「喫緊」と言う言葉があります。ニュアンス的には“急いで対応が必要な”を意味するらしいことは判るのですが、浅学の私は今迄聞いたことが無い言葉だったし、私の周りではこのような難しい言葉を使う人もいないので、この言葉には“どうしても直ぐに結論を出さねばならない”というような本当に緊迫性のある言葉なのかと、一度その意味を調べて見たいと思っていました。

 コトバンクでは“差し迫って重要なこと”とありましたが、素直に「差し迫っている重要なこと」とか「直ぐにでも対応が必要なこと」とかもっと判り易い言葉で言っても意味は変わらないようでした。

 また、この「喫緊」と言う言葉を調べて行く中で、いくつか判ったことがありますので下記します。

◆「喫緊」と言う漢字は、元々は「吃緊」という漢字だったようです。

◆漢字ペディアなどによると、この「吃」には、
①どもる。言葉がつかえる(「吃音」)②飲む。食べる。吸う、等の意味がある。
②受け入れる。(「喫」に書きかえられるものがある。)
となっており、「吃」を使った言葉として、下記の様な例が挙げられています。
  吃驚 (きっきょう) ・吃水(きっすい)・吃逆 (しゃっくり) ・吃驚 (びっくり) 

◆「吃」は現在の常用漢字に含まれていません。
・「吃」という字には「どもる」といった意味があり、1946年(昭和21年)に制定された当用漢字表(雑誌や新聞、法令などで使用する漢字の範囲を指すもの)には記載されなかったため、「吃緊(きっきん)」という言葉自体が使われなくなりました

・1981年(昭和56年)に当用漢字表は廃止されて常用漢字表が告示されたた際にも、「吃」という漢字は含まれませんでしたが、「常用漢字表」内における同音の漢字による書き換えが行われた際に「吃水」という言葉が「喫水」へと書き換えられ、それによって「吃緊」も「喫緊」と表記されるようになったようです。
※ 喫水:(draft)船舶が水に浮いているときの,船底から水面までの垂直距離


◆「喫」という漢字には
①のむ。「喫茶」 ②すう。「喫煙」 ③くう。食べる。かむ。「満喫」 ④こうむる。身に受ける。「喫驚」というような意味があり、「吃(キツ)」の書きかえ字として用いられるものがあるとの注釈がついています。(漢字ペディア)


 以上で、「喫緊」は「吃緊」の書き換えですが、この言葉でなくては意味が伝わらない様な特別な言葉なのではなく、“差し迫って重要なこと”のようなもっと判り易い言い方をしても、充分に伝わる言葉なのです


 まるで、“自分はこのような難しい言葉を知っているんだぞ!”とばかりに、余り使われない言葉を無理に使う位なら、いつも言っている様に“心から。真摯に。寄り添う。親切で丁寧。誠心誠意・・・”などのような人間の心に関する言葉をもっと真面目に使う方がより大事ではないでしょうか・・・ (まさ)

ようやく秋の気配です 

2019年08月24日 19時18分41秒 | その他
 昨日は夕方から少し雨が降り、その後は風も吹いて久しぶりに涼しさを感じました。
お陰で、もう何日ぶりになるのかは正確には数えていませんが、本当に久しぶりにクーラーなしで眠ることができました。

 クーラーに慣れ切った体が、少し元気を取り戻したようで、本格的な秋の到来が待ち遠しいところです。(まさ)

言葉の語源など  その(30)  ~大根役者~

2019年08月23日 19時47分45秒 | 面白い言葉や語源など
 “芸の拙い役者や俳優を見下す言葉”として「大根役者」と言う言葉があります。

 この語源は、大根は食材として利用範囲が広く、どのような調理を行ってもめったなことでは食中り(しょくあたり)しないことから、「中らない」に「当らない」を懸けて、役者として当たらない、または当たりのとれない人を「大根役者」と呼んだと聞いていました。

 しかし、これ以外にも色々な説があるようで下記します。いずれも芝居や役者に関することなので、やはりこの言葉は芝居関係者から生まれた言葉なのは間違いないでしょう。

・演技が下手なために人の役まで至らず、馬の前足・後ろ足を演じ、馬の脚が大根を連想させたとする説。

・技量が乏しく表現力に欠けた役者や俳優の演技は素人同然である。このことから(大根の色の)しろと、(素人の)しろをかけたとする説。

・演技の下手な役者は白粉(おしろい)を多用することから白をかけたとする説。

・演技の下手な役者が舞台に出ると場が白けるとする説。
(まさ)

言葉の語源など  その(29)  ~恙無く(つつがなく)~

2019年08月22日 20時20分27秒 | 面白い言葉や語源など
 恙無く(つつがなく)は、“病気などがなく健康に過ごすこと、無事であること、問題なくあること”などを表す言葉です。
 以前にその由来を聞いたのですが、改めて調べて見ると、私が記憶していたのと少し違う所もありましたので、改めて纏めてみます。
 
 随分昔のことですが、学生時代に、確か生物の時間だったと思うのですが、先生から
“東日本にはツツガムシ病という風土病があるが、これはダニの一種のツツガムシによって媒介されるため、この虫がいなければ安心できることから「つつがなく」という挨拶の言葉ができ、唱歌「ふるさと」の[恙なしや友がき]と言う歌詞もこれに由来する”
と教わった記憶があり、これを盲信していました。

 今回調べて見ると、私の盲信していたストーリーは、俗説としてはあるが、それは誤りであるとされています。

 何故なら、「恙」という言葉は、昔から存在している“病気や災い、災難”を意味する言葉で、これが「恙無し」の語源です。

 また、風土病の一種がツツガムシと言う虫によって媒介されることが判って「ツツガムシ病」と名付けられたのは、随分後世になってからで、この時すでに「恙無し」と言う言葉はあったということです。

 誰かから聞いたもっともらしいストーリーには要注意です。(まさ)

言葉の語源など  その(28)  ~「とどのつまり」「おぼこい」は同じ語源?~

2019年08月21日 21時25分15秒 | 面白い言葉や語源など
 “物事の果て、行きつく所、結局のところ”という意味で、(多くは良くない場合に)使う言葉何とに「とどのつまり」と言う言葉があります。

 この語源は、何と魚のボラでした。
ボラは成長するにつれて次々と名前が変わる出世魚で、関東ではオボコ⇒イナッコ⇒スバシリ⇒イナ⇒ボラ⇒トドと大きくなるにつれて呼び名が変わります。

 最後には「トド」という呼び方になりますが、このトドが最終段階で、それ以上大きくならないことから生まれた言葉が「とどのつまり」というわけです
※ 「トド」と聞くと、オットセイ、アシカの仲間のトドをイメージしてしまいますが、違うようです。


 西日本の方言に「おぼこ」或いは、その形容詞として「おぼこい」という言葉があります。
「おぼこ」は“まだ世慣れていないことやそのような人、或いは生娘 (きむすめ)”などを 言いますが、「おぼこい」は、“子供っぽい。幼稚だ。また、俗に初々しく未熟なさま”を言います。

 この語源は、上記の「ボラ」の小さい時の呼び名に由来するという説が多いようですが、「うぶこ(産子)」に由来するという説も多いようです。(まさ)