通勤中にスレイヤーズの作者の神坂一さんの異世界もの「日帰りクエスト」をふと思い出し
「そういえば、リアルでイマイチパッとしない主人公が異世界に召喚されて、現代感覚と常識で大活躍する物語って他にどんなのがあるんだ?日帰りクエスト以前で」
そう思ってちょっと調べたんですが、見つからなかった。
どれも「実は勇者だった」「元々優秀な人間だった」「何故か不思議な力に目覚めた」
そういう「活躍するに足る理由」があるパターンばかり……のような気がする。
(中にはタイトルだけで概要が良く分からないのがあったんで、ひょっとしたらタイトルだけ特殊な力が目覚める系に見えて、実は現代知識で大活躍系だったのもあるかもしれない)
私の記憶にある中で、最初に見た異世界召喚系の物語は
勇者系は「魔神英雄伝ワタル」
知識活躍系は「日帰りクエスト」
なんですわ。
魔神英雄伝ワタルは「小学生戦部ワタルが、図工の時間に作った粘土のロボットを持って下校中、寄り道で立ち寄った龍神が住むという伝説の池で異世界召喚。異世界を支配している魔王ドアクダーと、自作の粘土ロボに龍神が入り込むことで本当のロボと化した愛機・龍神丸と共に戦い抜く」物語で。
日帰りクエストは「日本の女子高生エリがある日異世界召喚。退屈な日常が終わると大喜びするが、実は自分が召喚されたのはただの「お試し」だった。しかも元の世界に普通に帰れると知り落胆するも、自分を召喚した魔術師を言いくるめて毎週日曜に召喚してもらう約束をとりつける。最初はただの気晴らしだったけど、実は異世界は竜人と呼ばれる異種族に人間社会が侵略されていて、彼女はその「人間VS竜人」の戦争に巻き込まれていく」物語。
主人公のエリは別に天才でもなんでもなく、多少度胸があって気が強いだけの女子高生。ずば抜けた運動神経や、異世界に来ることで突如目覚めた類い稀なる魔力もなーんもない。
彼女は持ち前のその気の強さと、度胸と、日本人の平和ボケ。あと現代人の一般常識を駆使して異世界で行われている異種族戦争で活躍して行くんですね。
気が強く、度胸があってかつ良い意味で平和ボケしている(最悪の結末に意識が及ばない)せいで土壇場で怯えずとんでもない啖呵を切ったり、決断をして大活躍するんですな。
話のテーマは多分人種差別。
作中の侵略者・竜人たちは爬虫類から進化した知的生命体で。
姿は背中にドラゴンの翼を備えた直立したトカゲ。
生態も爬虫類に近く、恒温動物で無いので普段は南の常夏の地域に自身の国々を構えているんですが。
彼らの国々の一国が「領土を増やしたいが他の竜人の国を侵略すると尊い竜人の命が失われてしまう。そうだ!下等生物である人間の国を攻めて我々の領土にしよう!」と考え、ネックだった「人間の住む地域には寒い冬がある。それはどうする?」を魔術的に解決する方法を編み出し、満を持して攻めてきた。
竜人たちは飛行能力を持っている上、魔術の才能が人間と比較にならないほど高く、正面から戦えばまず勝てない。
あっけなく国王を討ち取られ、王国は滅亡。王国の王子だけは生き延びて、レジスタンスを組織したけれども戦況はハッキリ言ってキビシイ。
そんな状態で物語は開始するんですけども。
侵略者・竜人たちは別に傲慢で残虐な種族なのではないんですな。
平気で人間の国を滅ぼした連中ですけど。
それはただ単に「人間を竜人と対等な存在である」と思ってないだけ。
我々だって、野犬の群れが住宅地開発予定地に住み着いていたとしても。
駆除するか追い立てるかしますわな。
そんな感覚。
一部の動物愛護者は発狂するかもしれませんけど、大概の人は「それに何の問題が?」って思いますよね。
ましてや彼らにとっては
「同じ竜人の国を攻めて領土を奪い取るより、よほど平和的だろう」
凶悪なことをやってるって自覚どころか、温厚で進歩的で平和的な活動だとすら思ってるはず。
人間側にとっては到底納得できない考え方ですけど、それは全て「竜人と人間は対等では無い」これに尽きる。
物語中盤で登場する、人間を研究している竜人の学者ラーディがエリに言うんですが「差別意識を無くしていくには、人間が竜人に「人間もなかなかやる」と思わせるしか無いですね」
人間は侮れない存在だと思わせるしか差別意識を変えていく方法は無い。まぁ、ド正論。
爬虫類と哺乳類で外見がかけ離れている上に、生物的に言うと圧倒的に強さが違い過ぎるから、一目置かれる要素が無く、結果として「竜人以下の下等生物」って烙印を押されてしまっているわけで。
ならば一目置かれる要素を自ら作っていくしか方法は無いですな。
で、ラーディの言葉通り、エリは異世界の仲間たちと一緒に竜人からの解放戦争の戦況をひっくり返し、結果竜人との和平を実現するんですけど。
(そこで一悶着あって悲劇が起きるのですが、そこは割愛)
愚かに見えるかもしれんけど、一度本気の殺し合いをするくらいのことをしないと、人種差別ってのはなかなかなくならないもんなのかもしれんなぁ。
お情けで「彼らは我々より圧倒的に力の劣る種族だが、だからといって見下すのは気高い我々の主義に反するのでお情けで権利を認めてあげよう」では、根本的な見下しは無くならない。
だからといって殺し合いをすれば即全部解決するかと言えば、それはまた別問題だけど。(作中でも和平会談の場で、人間と対等の話し合いを持とうとする竜人入植者団の指導者の方針に反発する竜人の将軍が居ましたし)
本当に人種差別は根深い。
読後にそんな感想が出てくる作品でしたわ。
「そういえば、リアルでイマイチパッとしない主人公が異世界に召喚されて、現代感覚と常識で大活躍する物語って他にどんなのがあるんだ?日帰りクエスト以前で」
そう思ってちょっと調べたんですが、見つからなかった。
どれも「実は勇者だった」「元々優秀な人間だった」「何故か不思議な力に目覚めた」
そういう「活躍するに足る理由」があるパターンばかり……のような気がする。
(中にはタイトルだけで概要が良く分からないのがあったんで、ひょっとしたらタイトルだけ特殊な力が目覚める系に見えて、実は現代知識で大活躍系だったのもあるかもしれない)
私の記憶にある中で、最初に見た異世界召喚系の物語は
勇者系は「魔神英雄伝ワタル」
知識活躍系は「日帰りクエスト」
なんですわ。
魔神英雄伝ワタルは「小学生戦部ワタルが、図工の時間に作った粘土のロボットを持って下校中、寄り道で立ち寄った龍神が住むという伝説の池で異世界召喚。異世界を支配している魔王ドアクダーと、自作の粘土ロボに龍神が入り込むことで本当のロボと化した愛機・龍神丸と共に戦い抜く」物語で。
日帰りクエストは「日本の女子高生エリがある日異世界召喚。退屈な日常が終わると大喜びするが、実は自分が召喚されたのはただの「お試し」だった。しかも元の世界に普通に帰れると知り落胆するも、自分を召喚した魔術師を言いくるめて毎週日曜に召喚してもらう約束をとりつける。最初はただの気晴らしだったけど、実は異世界は竜人と呼ばれる異種族に人間社会が侵略されていて、彼女はその「人間VS竜人」の戦争に巻き込まれていく」物語。
主人公のエリは別に天才でもなんでもなく、多少度胸があって気が強いだけの女子高生。ずば抜けた運動神経や、異世界に来ることで突如目覚めた類い稀なる魔力もなーんもない。
彼女は持ち前のその気の強さと、度胸と、日本人の平和ボケ。あと現代人の一般常識を駆使して異世界で行われている異種族戦争で活躍して行くんですね。
気が強く、度胸があってかつ良い意味で平和ボケしている(最悪の結末に意識が及ばない)せいで土壇場で怯えずとんでもない啖呵を切ったり、決断をして大活躍するんですな。
話のテーマは多分人種差別。
作中の侵略者・竜人たちは爬虫類から進化した知的生命体で。
姿は背中にドラゴンの翼を備えた直立したトカゲ。
生態も爬虫類に近く、恒温動物で無いので普段は南の常夏の地域に自身の国々を構えているんですが。
彼らの国々の一国が「領土を増やしたいが他の竜人の国を侵略すると尊い竜人の命が失われてしまう。そうだ!下等生物である人間の国を攻めて我々の領土にしよう!」と考え、ネックだった「人間の住む地域には寒い冬がある。それはどうする?」を魔術的に解決する方法を編み出し、満を持して攻めてきた。
竜人たちは飛行能力を持っている上、魔術の才能が人間と比較にならないほど高く、正面から戦えばまず勝てない。
あっけなく国王を討ち取られ、王国は滅亡。王国の王子だけは生き延びて、レジスタンスを組織したけれども戦況はハッキリ言ってキビシイ。
そんな状態で物語は開始するんですけども。
侵略者・竜人たちは別に傲慢で残虐な種族なのではないんですな。
平気で人間の国を滅ぼした連中ですけど。
それはただ単に「人間を竜人と対等な存在である」と思ってないだけ。
我々だって、野犬の群れが住宅地開発予定地に住み着いていたとしても。
駆除するか追い立てるかしますわな。
そんな感覚。
一部の動物愛護者は発狂するかもしれませんけど、大概の人は「それに何の問題が?」って思いますよね。
ましてや彼らにとっては
「同じ竜人の国を攻めて領土を奪い取るより、よほど平和的だろう」
凶悪なことをやってるって自覚どころか、温厚で進歩的で平和的な活動だとすら思ってるはず。
人間側にとっては到底納得できない考え方ですけど、それは全て「竜人と人間は対等では無い」これに尽きる。
物語中盤で登場する、人間を研究している竜人の学者ラーディがエリに言うんですが「差別意識を無くしていくには、人間が竜人に「人間もなかなかやる」と思わせるしか無いですね」
人間は侮れない存在だと思わせるしか差別意識を変えていく方法は無い。まぁ、ド正論。
爬虫類と哺乳類で外見がかけ離れている上に、生物的に言うと圧倒的に強さが違い過ぎるから、一目置かれる要素が無く、結果として「竜人以下の下等生物」って烙印を押されてしまっているわけで。
ならば一目置かれる要素を自ら作っていくしか方法は無いですな。
で、ラーディの言葉通り、エリは異世界の仲間たちと一緒に竜人からの解放戦争の戦況をひっくり返し、結果竜人との和平を実現するんですけど。
(そこで一悶着あって悲劇が起きるのですが、そこは割愛)
愚かに見えるかもしれんけど、一度本気の殺し合いをするくらいのことをしないと、人種差別ってのはなかなかなくならないもんなのかもしれんなぁ。
お情けで「彼らは我々より圧倒的に力の劣る種族だが、だからといって見下すのは気高い我々の主義に反するのでお情けで権利を認めてあげよう」では、根本的な見下しは無くならない。
だからといって殺し合いをすれば即全部解決するかと言えば、それはまた別問題だけど。(作中でも和平会談の場で、人間と対等の話し合いを持とうとする竜人入植者団の指導者の方針に反発する竜人の将軍が居ましたし)
本当に人種差別は根深い。
読後にそんな感想が出てくる作品でしたわ。
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