もっと物語の描きたいものを考えようよ

先日、とある人と悲劇の話で会話してて、こういう話を教えてもらいました。
必殺仕掛人の話らしいんですが。

浪人で、仕官できず、金を稼ぐために仕掛人に手を染めて、金を貰って悪党を殺している男。
夫に仕官して欲しいと願っているその妻。
そこに、悪人がやってきて「アンタの旦那を仕官させてやってもいいが、抱かせろ」と妻に持ちかける。
妻は「私が１回だけ耐えれば、夫が念願の仕官をさせてもらえる」と、身体を差し出す。
で、間の悪いことに、妻が悪人に身体を差し出している現場に、その悪人を仕置するために男は踏み込んでしまう。

妻が他の男に抱かれている現場を目撃してしまう。
何故そうなっているかは分かる。俺の稼ぎが悪いからだ。

でも、これを見過ごすと、自分は「自分の稼ぎの無さを埋め合わせるために、妻を売った犬畜生」になってしまう。
それだけは絶対に許容できない。男は、悪人ごと妻を斬り、後は脱げ殻のようになって去っていく。

……武士であるがゆえの悲劇で、なかなか良いと思ったんですが。
それは武士の矜持が分からないと良さが分からないわけで。

今だと「事情があるのに殺すなんて酷い！」って騒ぐやついるよなぁ、って話したら。

「進撃の巨人の最終回を書き直せって署名も、続々集まってるらしいですしね」って、ため息交じりに教えてもらった。

えええ～？

あれは、テーマ的には完成された最終回だろ？
何を書き直す必要があるのよ？

……エレンが死んで、ミカサがひとりぼっちになるのが悪いっての？
そこまでしないと、エルディア人はあの世界では人間扱いしてもらえない状況だったのよ。
それ、今まで散々やってきたじゃんか。

なんというかさ。
その物語で何を描きたいのか？　って視点をガン無視して。
キャラクターの単純な幸せばかりに目を行かせる人、居るよね。

野暮というかなんというか……。
もっと作り手的に、テーマ的にどうなんだという視点を持って読んで欲しいですな。