https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170422-00000517-san-life
ボツリヌス菌は土壌、海や河川に広く存在しており、殺菌するには120度で4分以上加熱しなければならない。
家庭の調理では難しく、これまでには自家製の野菜スープや井戸水が原因とみられる例もある。厚生労働省や都は乳児に蜂蜜を与えないことを改めて呼び掛ける。また、都の担当者は、食材をよく洗うことや台所や調理器具の消毒など、「一般的な食中毒対策を今一度徹底してほしい」と訴えている。
■親がアレルギー体質の場合は子供も注意
一方、蜂蜜以外にも離乳食を与える際に注意が必要な食材がある。乳幼児の食事に詳しい京都女子大学の中山玲子教授(食生活学)は、蜂蜜と同様に加熱殺菌処理が難しい黒糖やきな粉について、「これまでに乳児ボツリヌス症との因果関係を示すデータはないが、可能性は排除できない」として、1歳未満の乳児は控えることを勧める。ただ、「ボツリヌス菌は自然界に広く存在しており、気にし始めたら何も食べられない。1歳までは注意するに越したことはないということだ」と話す。
このほか、アレルギー物質を含む食材も注意が必要だ。よく知られている卵や乳だけでなく、乳幼児が好むバナナやリンゴ、イチゴなども、口の中がピリピリするように感じたり、唇が腫れたりする「口腔(こうくう)アレルギー」を起こすことがある。重い場合は血圧低下など命に関わるアナフィラキシーショック(発症後、短時間で全身にアレルギー症状が出る反応)を引き起こす可能性もあり、初めて与えるときには留意したい。
中山氏によると、食物アレルギーの中で6%ほどが口腔アレルギーに当たり、近年増加傾向。口腔アレルギー患者は、花粉症やラテックスゴムアレルギーでもある場合が多く、両親または片方の親がアレルギー体質の場合は、子供にも注意が必要だという。
■見かけは大きくても未熟な乳児
注意すべき食材は、食物アレルギー症状が重いことなどから、食品表示法に基づき加工食品への原材料表示が義務づけられているエビ▽カニ▽小麦▽そば▽卵▽乳▽落花生-の7品目。これらに準ずるものとして消費者庁通知で表示が推奨されているオレンジ▽バナナ▽モモ▽リンゴ▽大豆-など20品目がある。
厚労省では、「授乳・離乳の支援ガイド」の中で、こうした食材は離乳初期には避け、新しい食品を与えるときには一さじ与えて時間をおき、様子を見ながら量を増やすことなど、注意を促す。中山氏は、果物は7~8カ月以降になめる程度から始めることを勧める。その上で、「乳児は見かけは大きくても消化吸収が未熟な場合があり、個人差も大きい。離乳食は成長、発達段階を見ながらゆっくり進めてほしい」と訴えている。