https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190520-00064597-gendaibiz-hlth略
「生活習慣の乱れが原因の2型糖尿病に薬は必要ない場合が多いと思っていますが、中でもグリミクロンやアマリールなどのSU薬は、糖尿病に詳しい医者であれば、まず飲みたがりません。
低血糖になりやすいからです。近年、SU薬は本来血糖値を抑えるべき食後ではなく、夜中に効き過ぎて『夜間低血糖』を引き起こしやすいこともわかってきました」
夜間低血糖が続くと心臓や認知機能に悪影響を与える。致死性の不整脈を起こして、突然死を招くこともあるのだ。略
なぜ、医師は自分では飲まないのに、患者には薬を出すのか。その理由の一つとして、医師たちは「ガイドラインに従って、基準値まで薬で下げておかないと、患者さんが脳卒中や心筋梗塞を起こした際に責任が取れないから」と主張する。
基準値に最も振り回されているのが、いまや国民病とも言える高血圧だ。4月末にはガイドラインの改訂により、目標値が「130/80mmHg」に引き下げられる予定で、このままいくと日本人の約半分の6300万人が高血圧と診断されてしまう。これはさすがに「目標値がおかしい」と言わざるを得ない。
現実問題として「若い人ならまだしも、高齢者まで薬で無理に血圧を下げる必要はない」と考える医師は意外と多い。
サン松本クリニック院長の松本光正氏(76歳)もその一人だ。自身も血圧、血糖値ともに基準値を超えることがあるが、「薬は飲んでいない」と言う。
「歳をとって血圧が上がるのは、自然なことです。血圧とは心臓から送り出される血流の強さ=生きる力でもあります。
薬で無理に血圧を下げると、血流が弱くなり、血栓が詰まる脳梗塞のリスクが上昇することは普通、医師ならだれでも知っていることです。
特にベテランの医師ほど、処方を控えるし、自分では薬を飲まない人が多いでしょう。それは歳をとると血圧は下げ過ぎるほうが、よっぽど怖いと知っているからです」略
70歳以上の高齢者で降圧剤を飲んでいる患者約1600人を約5年間追跡したところ、80歳以上では血圧を低くコントロールしていた人のほうが、死亡数が多いことがわかった。略
「私はストレスで血圧が乱高下するので、急激に上がったときには薬を飲むこともありますが、あくまで頓服(一時的な服用)にしています。
できるだけ薬には頼りたくないので、日々減塩に取り組んでいます。患者さんにも『1週間だけ』徹底的に減塩をしてもらいます。すると薬が必要なくなる人が結構いるのです」略
中でも鎮痛剤のリリカは、患者さんが『痛い』と言えば安易に出される薬ですが、めまいやむくみ、体重増加などの副作用があり、まれに意識を失って交通事故を起こしたなんて話も聞きます。多くの医師は一時的に飲むことはあっても、飲み続けることは避けます」
痛み止めや抗精神病薬、睡眠薬などは飲み続ければ、「耐性」ができるため、どんどん薬が効かなくなる。結果、薬の量が増加し、より強い薬を求めるという悪循環に陥る。 略
「特に副作用がまだわからない新薬については、処方はしても医師は自分では飲みたがりません。単剤では問題なくとも、合併症や他の薬との飲み合わせにより、何が起こるかはっきりしていませんから」(谷本氏)
病院に訪れた際に一度「先生だったらこの薬を飲みますか」と聞いてみればいい。本当の名医とは、すぐ薬をくれる医者ではなく、なかなか薬をくれない医者である。