スミダマンのほのぼの奮戦記

~グルメ・旅・仕事・自然・地域~あらゆる出来事をフラッシュバック。

脇町劇場・オデオン座

2018-05-22 05:49:47 | 建物

うだつの町並みの終点、大谷川の川向こうに、ポツンと建つ

昭和初めの劇場「オデオン座」。ここは昭和9年に芝居小屋として

建てられ、歌舞伎や浪曲などが催され、戦後は映画館となり、

地域の憩いの場として親しまれた。

間口が14.5m奥行27.3m二階建てで、建築延面積612.17㎡。

舞台には直径6mの回り舞台があり、四国では

愛媛県の内子座、香川県の金丸座に現存している。

1998年、美馬市指定有形文化財に指定された。

ここに入るには入場料(大人200円)がいる。切符売りの女性と

劇場内で色々話をしたが、時間の余裕もあったせいか、おもてなしを

受けている様なとても心地良い時を過ごした。田舎ってイイナーって感じ。

劇場の収容人員は250名で、花道、うずら桟敷、太夫座等の設備が

整っている。舞台の奥には300インチの映画用スクリーンもある。

琴平の金丸座より古くないが、半分は今でも生きていて、

半分は過去の記念碑といった感じだ。ここはまさに

「男はつらいよ」フーテンの寅さんの世界そのものだ。

観客席の2階正面にある低料金の客席「大向(おおむこう)」。

常連や劇通が多いので「大向をうならせる」というと芝居上手なことにもなった。

劇場の割には広い楽屋。襖には芸能人の落書きがあった。

左側の愛の落書きは2代目林家三平のもの。

歌舞伎劇場において、1階の左右両側にあるうずら桟敷には

劇場名が書かれた素朴な座布団が並んでいた。

この劇場が今でも使われているという現役の証だ。

当劇場にもまわり舞台があり、劇場、舞台の床下には

俗にいう奈落があった。

実はオデオン座にはドラマチックな秘話がある。時代は流れ、

映画の斜陽化と建物の老朽化により平成7年に閉館し、

取り壊して駐車場になる予定であった。

がその時平成8年、松竹映画「虹をつかむ男」(山田洋次監督

西田敏行主演)の舞台になり、一躍脚光を浴び、文化的価値が見直され、

町指定文化財として昭和初期の創建時の姿に修復され

一般公開されることになった。その後NHKの「鶴瓶の家族に乾杯」で

平成21年、今年亡くなった大杉漣が、「過去に出演した映画のロケ地になった

映画館を訪ねたい」という理由でオデオン座が旅先に決まった。

その時の色紙がそれぞれ飾ってあった。