100分de名著 『共同幻想論』
第一回 焼け跡から生まれた思想 吉本隆明
吉本を決定的に変えたのは戦争体験だった。
昨日まで信じていたものがすべてひっくり返る混沌の中で、
吉本が生みだした概念が「関係の絶対性」。
一人でどれだけつきつめて考えぬき辿(たど)り着いた「正しさ」も間違う可能性がある。
他者との関係性の中からしか「正しさ」は導き出せないのに人はそのことを忘却している。
この概念を出発点に吉本は国家を共同幻想ととらえる視座を獲得していく。
この概念のねらいを読み解いていく。
Ennio Morricone - Cinema Paradiso (In Concerto - Venezia 10.11.07)
『共同幻想論』(きょうどうげんそうろん)とは、1968年に刊行された吉本隆明の著作である。
当時の教条主義化したマルクス・レーニン主義に辟易(へきえき)し、
そこからの脱却を求めていた全共闘世代に熱狂して読まれ、強い影響を与えた思想書である。
吉本隆明