昨年の研修は鳥取県米子市のメガソーラー施設の見学に行った。テーマとして今年は
その二番煎じのような形になったが大きく異なるのは太陽・風・循環を取り入れた再生
可能エネルギー設備でエネルギーを大きく括った点にある。
島根県企業局西部事務所が主催する『万葉の里再生可能エネルギー見学コース』に参
加させて頂き、懇切丁寧な説明を受けた。
参加者は桑炭会会員、所縁の深い人たちの参加もあり総勢20人。
自動車道の整備も進んでいるから江津までの移動だから2時間もあれば十分だろうとの
見積もりは少々甘く、集合時間をずらして貰い昼食もそこそこに西部事務所に向かう。
企業局のこと万葉の里の概要説明を受ける。
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最初に、事務所の傍にあるソーラーセル発電の一部を例に発電の仕組みや規模につ
いての話。昨年のソーラーセル見学は暑さが痛いようなものだったが、今年はどんより
としたもので如何にも身体がだるく疲れそうな感じがした。
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ソーラーから少し離れたところにあるのがバイオマス発電。間伐材、非利用材などを燃
料に蒸気を作り出しタービンを回して発電する。国土の2/3を森林に持つ日本には放
置された非利用の木々がふんだんにあるのに、これを活用する研究は皆無と言ってい
いのではなかろうか。5000㍍もの海底にあるエネルギー源の研究より簡単ではないか
と思うが。
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バイオマス発電の肝は蒸気をつくるための熱源に求められる温暖化防止に寄与でき
る度合いの高さである。火力発電所と石炭の組合せはエコに優しいと評価されない。
それと比較できないくらい(オーバーに言えば)の効果が期待されている。
燃料のバイオチップは県内産、これに脂質を多く含有するヤシの実の殻(PKS)を加え
て燃やすことにより燃焼効率は格段に上昇する。東南アジアの国からの輸入。
種のカスだから食欲をそそるらしく、カラスがつついていた。話によると時々カラスが
やって来てはつつくとか。
丁度チップを積んできた12トントラックが貯蔵庫に降ろす所に出くわした。
トラックが乗った鋼鉄製のブリッジがトラックの後方を支点に上昇し、荷台のチップを
一気に降ろしていく。人間の仕事はボタンを押すだけで約10トンのチップが1分ほど
で荷下ろし完了。
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手前がこれから使用するチップ・PSKを貯蔵する、奥は燃焼し蒸気を発生する施設
物を燃やせば煙や様々な物質を発生させ、中には人や自然界に有害のものもある。
バイオで自然にやさしいと言いながら片方で有害物を発生させては洒落にもならない。
ここではバグフィルターを通して煙を排出しているため有害物はもとより煙すら透明で
僅かな水蒸気しか出ていなかった。
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続いて、チップを作っている所に移動する。新しい材木、古いものが貯蔵されており真
っ直ぐで節の少ないなど利用価値のあるものはチップにせず合板材料などに利用され
る。キャタピラー付きの粉砕機に材木を数本掴んだ機械が食い込ませる。
粉砕機はガガッと食いちぎりながら巻き込みあっという間に影も形もなくなりベルトコンベ
アーで10㍍ほど離れた貯蔵庫に送られる。
単純ではあるがダイナミックで見ていて飽きることはない。
『凄いなー』と言いながら見入る。
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先ほどの丸太はチップに・・・
今では珍しくなくなった風力発電。ここでは9機が稼働している。今日は生憎と風力
3m以下のために稼働せずお休み状態。高さ80㍍もあるというがただの円筒形のもの
だから大きくは見えないが、真下に来てみると途轍もなく大きい。
写真には撮りきれない。
風車を見ながら2001年に初めて出かけた海外旅行、サンフランシスコで見た風力発電
を思い出した。何キロにも及ぶ風車の列。未だ日本には1機もない時代。アメリカで風力
発電が主流とも積極的とも聞かない。今はどうなっているのだろうか。
日本の風力発電に将来性は見い出せるのだろうかふと疑問に思った。
さりとて、日本人の知恵で日本流儀の風の使い方を発掘して欲しい。
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下から覗いた内部
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薄く見える風車
私たちの見学ために島根県企業局西部事務所、および関連企業の方々には大変
お世話になり、貴重な経験をさせて頂きました。有難うございました。