砂漠の音楽

本と音楽について淡々と思いをぶつけるブログ。

我必须学习中文

2024-07-09 16:28:53 | エッセー
暑いのでブログを書きます。
もう7月ですか。驚くべきスピードで時間が流れていきます。
この頃は、朝起きて仕事に行って、帰宅して夕飯を食べて、勉強して寝て。
そしてまた朝起きて仕事に行って、帰宅して夕飯を食べて、勉強して寝て。
そんな日が土曜日まで続いていて。日曜日には用事を済ませたり、出かけたり人と会ったりしています。
なんとか日々をこなしています。暑いですがみなさまお元気ですか。



帰宅したあと何を勉強しているのかというと、中国語です。
何かに役立てるつもりもないし、中国に行くわけでもないのですが、なぜか今度中国語の検定を受けます。
いわゆる「HSK(漢語水平考試)」と呼ばれるものです。事前にチェックテストをしたところ、3級くらいがちょうどいいラインかなと思って受けることにしました。昔住んでいた町の近くで受けてきます。

中国語は、なんといっても発音が難しいです。ピンインがあり、四声があり、子音の発音も独特。
その点ではリスニング問題が一番心配ですね。同じような発音の単語がちらほらあるので。
うまく聞き分けられるかしらん…。

逆に文章問題はわりあいイージーで。
今日のタイトル「我必须学习中文(私は中国語を勉強しなければなりません)」のように、漢字がわかれば文章の意味が結構理解できます。
ただ、「頭」→「头」、「勝つ」→「赢」のように、日本で使われる漢字とまったく違うものもあるので、それは勉強しなくてはなりません。
名詞はある程度同じだったり、雰囲気でわかったりするのですが、副詞や一部の動詞が難しいですね。


そんなわけで中国語を勉強しています。
あとは最近、河島英昭先生の『イタリアをめぐる旅想』というエッセーを読んでいます。古本屋で遭遇しました。
これが面白い。文章が巧みなのはもちろんですが、読んでいるだけで、異国に身を置くときのなんとも言えない感覚を味わえます。
わくわくするような浮足立つ気持ちもありつつも、他者と触れるときの圧倒的な衝撃、「ひとり」で空間に漂っている感覚。異国に行きたいなあ、そういう気持ちを味わいたいから、私は海外文学が好きだったりします。

そういえば大学の時はジョジョ5部の影響でイタリア語をとっていました。
いつかイタリアに行きたいですね。イタリア語はもうぜんぜん覚えていないけど。
たぶん「私の名前は〇〇です」「私は学生です、心理学を勉強しています」くらいしか言えません。アリベデルチ。


河島先生といえば、チェーザレ・パヴェーゼやウンベルト・エーコなど、イタリア文学の翻訳で有名な方です。
私が初めて先生の翻訳に出会ったのは『薔薇の名前』にチャレンジして挫折したときだったと思います。そのあともパヴェーゼを何作品か、先生が訳しているものを読みました。『月と篝火』『祭りの夜』いずれもいい作品でした。

いつだったか、センター試験でパヴェーゼの日記について述べられている文章を読みました。内容はあまり記憶にないのですが、どうもずっと印象に残っていて。
調べてみたところ、社会学者の富永茂樹さんによる『都市の憂鬱』という著作から出典されているようです。

その本は読んだことがないのですが、社会人になってからパヴェーゼの小説を読んだとき、「あれ、このパヴェーゼって作家、もしかしてセンター試験に出ていた、あのパヴェーゼ…?」と―びっくりとも違う、感動とも違う―変な感覚を抱いたように記憶しています。巡り巡って、ここで出会ったか、という。


パヴェーゼの小説に出会ったときの、奇妙な感覚。こんなふうに、取るに足らないような過去の出会いが、ふと我々の人生にかかわってくることってあるよな、と感じたりしていて。そして古本屋で河島先生の本に出会えたことも、私にとっては大きな喜びとなったのです。

中国の勉強も、差し当たって目的があるわけではないにせよ、何かの出会いにつながるといいな、と思ったり。
まあ3級は「ビールください!」とか「店員さん、お会計お願いします!」とか、ちょっと旅行に行って困らないレベルなので、ネイティブの人と流暢にやり取りするとかはまったく無理ですが。
受かったらいっぱいビールを飲みます。これを中国語で言うと「如果考试通过了,我想喝很多啤酒。」になります。
いけない、こんなブログ書いてないで勉強しなきゃ…!

山手線一周RTAしてみた

2024-06-11 21:30:00 | 日記
暑くなってきました。
心労の源泉になっていたビッグイベントが終わり、少しのんびりしたいところです。しかしながら、今まで直視するのを避けていた仕事が押し寄せてきています。自分ひとりで片付く業務ならいいんですが、調整をしたり人にお伺いを立てたりする業務が難儀です。
そういうことをやりたくて今の仕事を志したわけではないのに…と思うけれども、組織で働く上ではどうしたって逃れることができないですよね。これが民主主義か、大切なのはわかるけど、ちゃんと維持していくのはなかなかに大変だなあ。



さて。
みなさんはRTAという言葉を聞いたことがありますか?
RTAとは、Real Time Attack(リアルタイムアタック)の頭文字をとったもの。
リアルタイムアタックとは、主にゲームで使われることが多い用語で、クリアまでのスピードを競う競技、一種のタイムアタックのことです。通常のタイムアタックと違うのは、ゲーム内のプレイ時間ではなく実際のクリアタイムで競うものです。

たとえば。
ゲームをスタートして1時間経ち、途中で15分休憩を挟みます。再開して1時間後にクリアします。
タイムアタックでは休憩の15分がカウントされず、クリアタイムは2時間になります。しかしRTAでは休憩の15分も計測され、2時間15分になります。
ぶっ通しでいかに速くクリアするか、それがRTAの醍醐味ですね。

最近ではお盆の時期や、年末年始にRTA in Japanというイベントが開催されています。
ゼルダ、ポケモン、ドラクエのようなメジャータイトルから、デスクリムゾンやファイナルソードなどの尖った作品が走られていて、実況と解説の掛け合いも面白く、毎回楽しみにしています。


前置きが長くなりました。
そんなわけで、私もRTAに挑戦してみました。山手線徒歩一周RTAです。山手線の30個の駅をすべて徒歩で回る、というものです。
2024年6月9日、久しぶりに何もない日曜日。天気は曇り、最高気温は25℃。夜に小雨の予報が出ていましたが、それまでには帰れるだろう、ということでこの日に挑戦しました。

新宿駅の改札を出て、8時57分開始です。ここでタイマースタート。
新宿西口の高架下を渡り、歌舞伎町タワーの横を抜けていきます。朝の新宿は汚いし、カラスがたくさんいて怖かったです。ただ、歌舞伎町エリアはそこまで広くないので、しばらく歩くとすぐに街並みがまともになります。

まずは新大久保へ。昔このあたりに先輩が住んでいて、泊まりに行ったこともありました。先輩のプレステでCall of Dutyをクリアするまでやらせてもらいました。友人とサムギョプサルを食べにきたこともあります。


ここから馬場までの道は歩道が広く、歩きやすかったです。

つづいて高田馬場。早稲田大学があります。ここにある「ひなた」というとんかつ屋さんが美味しいです。

目白。学習院大学がありますね。ここにある「ぞろ芽」といううなぎ屋さんが美味しいです。

そして池袋。最近全然来ていないですが、以前はジュンク堂などの大きな本屋に結構寄っていました。高校の友達と火鍋を食べに行ったり、大学の友達とオケを聴いた後に、ガチの中華を食べに行ったりもしました。あとは漱石の墓参りに、池袋から雑司ヶ谷まで散歩した記憶があります、印象深い思い出です。

大塚駅へ。都電が走っていますね。先輩がこの付近に住んでいて、お宅にお邪魔してしこたま飲んでいました。コロナ以降、なかなかお会いできていないので、また飲みたいですね。友人と、はるばる大塚まで明石焼きを食べに来たこともあります、たまに食べると美味しいんですよね、明石焼き。



そして巣鴨。落ち着いた住宅街を抜けて、駅前へ。人生で初めて立ち寄りました。商店街でささやかなお祭りをしていました。線路沿いを歩けるし、遠くにスカイツリーが見えて、眺めが比較的良いです。このあたりから少し足が痛くなってきました。

駒込。大塚~駒込付近はアップダウンがあってしんどいです。昔友人の結婚式がこのあたりであって、二次会で駒込の居酒屋で飲みました。しこたま飲んで鞄を忘れてしまった記憶があります。情けない話です。

坂を上って西日暮里へ。遠い昔にサークルの人と遊びに来た記憶がありますが、どんな用事で来たかあまり記憶にありません。このあたりから携帯のバッテリーが心配になってきました。

日暮里。このへんで12時頃でした。新宿から3時間。ここは観光客が多いためか、駅の外観が洒落ています。海外の方もたくさんいらっしゃいました。

鶯谷。ラブホテル街として有名ですね。駅前も雑然としていて、あまりきれいな印象を受けませんでした。いい雰囲気のレトロな喫茶店があり、ナポリタンに弾かれましたがもう少し進んでから休憩することに。

そして上野へ。休日の上野はとにかく人が多いです。駅前の通りでは昼飲みをしている人たちがたくさんいて、幸せそうでした。そろそろお腹が空いてきました。足も痛いです。酒を飲みたい衝動に駆られましたが、ここで飲むと「終わり」なので、我慢です。

御徒町。上野から歩いてすぐです。この辺はよく足を運ぶので、馴染みのある景色が広がっていました。馴染みのある景色とつながる瞬間は楽しいですね、ゲームでもあるような「ここがここにつながるのかよ」と、ぐっと視界が開けるような感覚があります。

秋葉原。なんだろう、休みなのに休みじゃないような、少し落ち着かない感じがありました。
携帯のバッテリーが不安だったので、慌ててヨドバシでモバイルバッテリーを購入。

さすがに疲れたので、駅の近くの「Beer Otaku Spice」というクラフトビール屋さんでビリヤニを食べ、ビールを2杯飲みました。美味しかったです。近くのテーブルに座っていた客2人が診療報酬改定や、医療従事者のベースアップの話をしていました、たぶん医者ですね。この時点で13時半頃でした。

神田。友人とこのへんのビール屋で、4時間近く飲んだ記憶があります。「Screamin’ Hop」というお店です、とても美味しかったしビールの種類が豊富なので、興味のある方は是非。こぢんまりとしたいいお店です。

東京。駅前人多杉。

有楽町。大学で大変お世話になった先輩が就職した直後、このへんのお店でおごってもらった思い出があります。お店はなくなっていましたが。あの先輩、元気かな。

新橋。この駅もガード下にお店がいっぱいあって、とても魅力的です。ナンバーガールのライブを観た後、友人とこの辺で飲みました。

浜松町。東京タワーの下にある寺院で、熱い夏を過ごしたのは遠い昔。修行が終わった後、門を出てすぐのところにあるコンビニでビールを買って飲みました。最近は、島に行くために何度か船に乗りました。島はいいぞ。飛行機もいいですが、のんびり酒が飲めるので私は船旅が好きです。

田町。充電が切れそうだったので、このへんでドトールに入ってスマホとモバイルバッテリーを充電しました。

この時点で16時です。歩行距離が30km超えました。疲れたので40分ほど休憩。雨が少し降ってきて、諦めようか葛藤していました。


高輪ゲートウェイ。まだ名前に納得いっていません。だってダサくないですか?駅周辺はまだ開発中って感じでしたね。この駅だけ写真を撮り忘れてしまいました。
品川。その昔大井町に住んでいたので、品川はよく利用していましたし、品川から歩いて帰ったりもしていました。思い出の地ですが、引っ越してからもうすっかり行かなくなりましたね。ラーメン屋がいっぱいあったエリアが解体されていました、寂しい。

大崎。この地に降り立つのも久しぶりでした。大きいビルが沢山建っていましたが、駅前のいわしを出す居酒屋はそのまま残っていました。このあたりで再度雨が降ってきましたが、ここまで来たら諦めたくないと思って、歩みを進めていきます。

五反田。栄えています。国道1号線ってここにあるのか~、とびっくりしました。このあたりが疲労と足の痛みのピークだったので、記憶がおぼろげです。


疲れたのでこのへんで痛み止めを打ちました。即効性があります。

目黒。電車の乗り換えと、寄生虫博物館に行ったことがあるくらいで、正直ほとんど来たことがないです。駅周辺にはいい感じのお店がいっぱいあって、もうここでゴールしていいよね、という声がどこからともなく聞こえてきました。


坂道がつらい。つまさきが痛いです。

恵比寿。馴染みのある町に来た、嬉しい。リキッドルームにちょいちょい行くので、この辺はなんとなく地形を把握しているので、安心して歩けます。道を間違えてロスしてしまうのが、タイム的のも足の痛み的にもきついですので。

渋谷。人多杉。宮益坂下の交差点を抜けても人多杉。どこからこんなに人が湧いているんでしょうか。

原宿。最近所用でよく来ていました。洒落た人がいっぱいいて怖いです。竹下通りの入り口から、坂道を下って路地を抜けて行きます。足の裏が痛くて、もう気力で歩いています。さいわいなことに、雨はすっかり止んでいました。路地の方に行くと、思いのほか年季の入ったマンションがちらほらありました。どんな人が住んでいるんだろう。

代々木。ここまで来たらもうすぐです。北参道の付近から、大きな通り沿いに歩いて代々木方面へ。昔この辺のスタジオで、徹夜でバンドの練習をした記憶があります。20代前半でしたね、若かった。

そして新宿へ。代々木から新宿へ向かうと南口の方に出るのですが、ちゃんとスタート地点に戻るために、京王百貨店の方から階段を降り、スタート地点に戻りました。ぜえはあ。成し遂げたぜ。タイムは11時間28分49秒でした。


完走した感想
今回はいくぶん準備不足でした、もう少し荷物を軽くするべきでしたし、モバイルバッテリーも用意しておいた方が安心でした。ただ、基本的に曇りだったので直射日光にさらされなかったのはラッキーでした。タイム的には納得がいっていないのですが、再走の予定はしばらくありません。気になった方は是非やってみてください、途中に視界に入ってくるいい感じの店で酒を飲みたいという欲望に打ち勝つのが大変でした。

カニと戯れたい

2024-05-23 17:55:52 | 日記
「…しんは?」
あれ、どこからか声が聞こえる。
「ぶ…の…しんは?」
ん?なんだって?

「ブログの更新は?」
ウオオオオオ!!!!よくも言いやがったなアアアアア!!!!!!


そんなわけで久しぶりの更新です。
ここ最近はプライベートがいそがしく、仕事もまあまあ忙しくて、すっかり怠っておりました。
何もない日曜日が欲しい。海を眺めてカニと戯れたい。
町中華で炒飯と餃子を食べ、ビールを飲みたい。
意味もなく3時間くらい散歩したい。
図書館でコーヒー飲みながら、あてのない読書をしたい。


端的に言って、疲れています。
それと同時に、なんでこんなに疲れているんだろうと思います。

仕事もまあまあ忙しいのですが、年度末や年度はじめほど摩耗しているわけではなく。
ちゃんとした休みがないのもあるけれど、それでもこんなに疲れが取れないものだろうか、と感じていて。加齢もあると思うのですが、少し先に大きなイベントが控えているのもあって、精神的になかなか休まらず。ねばつくような不安がずっと隣の座席に座っている感覚です。いやだねえ。
何か失敗する夢、不安になる夢もよく見ます。いやだねえ。


みなさんは、疲れたときにどのようなコーピング(対処行動)をしていますか。
以前もブログに書いたと思うけど、私はとりあえず酒を飲みます。飲酒頻度や酒量が増えます。ある種疲労のバロメーターになっています。

あとは芸人のラジオを聞くことが増えます。
面白いっていうのもあるんですが、音楽を聴いていると考え事をする「隙」が生じてしまうので、なるべくいろんなことを考えないように、とりあえず空白を埋めるために芸人のラジオを聞いているのです。それが楽しいかどうかは別として。

ここ最近のオススメは、ランジャタイのポッドキャストですね。すごく中身があるわけではないけど、めちゃくちゃ面白い。こんなに自由でいいんだな、こんな生き方もあるんだなあと思える。視野を広げてくれる番組です。

最近読んで面白かった本
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆
めちゃくちゃ面白かったです。手に取った時はカジュアルな新書かと思っていたのですが、読書論や労働観、新自由主義的な現代の価値観など、さまざまな社会的な要素にも触れられており、たいへん楽しく読みました。この人の本に紹介されていた『疲労社会』も買いました。でも疲れているのでまだ読んでいません。

次は『疲労とは何か』を読みたいと思います。最近ブルーバックスから出た本です。
ブルーバックスは、読みやすくて面白い本が多くていいですよね。

早く行事を終わらせて楽になりたいけど、当日が近づくのが不安です。
まあ死なないかぎり、なんとか生きていけると思うのですが。
ハアー、カニと戯れたい。

魂の浄化

2024-04-25 12:32:11 | 日記

急に暑くなってやる気が雲散霧消してしまいました。
久しぶりの更新ですが、みなさまお変わりなくお過ごしでしょうか。



相変らずポカの多い日々を送っています。
昨日スーパーで買い物かごを手に取ったのですが、そのとき妙な違和感があったのです。何かと思ったら、すでに逆の手に買い物かごを持っていました。
あとは辞めた職場から「あの書類どうなってますか?」とメールが来て。「えっ…出したはずだけど…でも私のことだから、やらかしちゃったかも!!」と思い、心臓が2~3個つぶれました。先方で探してもらったら結局見つかって、私の心臓は無駄につぶれたことになりました。


どういうわけだか疲れています。
めちゃくちゃ面倒な書類業務が終わったのですが、プライベートでも色々やることがあり。
また、ふいに金の不安も去来します。不安になったことでどうにかなるものではないのですが。
なるべく清貧に生き、ときどき飲酒をして不安を打ち払い、仕事をさぼって魂を浄化させています。



とはいえ。
書類業務につぶされていた時期に比べると、本も読めるし音楽も聴けます。
生きている実感が湧きます。なんだろう、中村一義を聞きたくなりますね。

唐突に、最近読んでよかった本
『そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティー
彼女の作品をはじめて読みました。そこまでミステリを読まないのですが、さすがに名作は読んでみようと思いまして。読んでみて、やはり名作と言われるだけあるなあ、と感じました。めちゃくちゃ面白かった。
人が無人島に集められて、事件が起きて…とミステリではベタな設定ではあるものの、まあこの作品が元祖みたいなものだしなあ。私自身が苦手なこともあってか、こういう「発明」を、いわゆる「0から1にする作業」ができる人を心底尊敬します。何かを生み出す力、作り出すが欲しいなあ、と身の程知らずの憧れを抱きました。

『旅する練習』乗代雄介
姪っ子と歩いて鹿島を目指す、ロードムービー的な話です。意図的に挿入される情景の描写、その土地にまつわる人物のエピソード、姪っ子の屈託のない振る舞い、鳥に関する知識、どれも魅力的に思います。同時に、自分がいかにさまざまなものを「取り落とし」ながら生きているのかを感じます。この小説に触発されて、この前の日曜に4駅手前から歩いて帰りました、後半は風景を味わう余裕もなく、ただしんどかったです。

『宝石の国』市川春子
今すぐ全人類が読んでつらい気持ちになって欲しいです。仏教モチーフなのが面白いですね。今日発売のアフタヌーンで完結なのですが、朝出勤する前にコンビニを4軒回って手に入れました。そのまま出勤したのですが、鞄に入れたアフタヌーンが重くてしんどかったです。もちろんこの物語も重くてしんどいのでおすすめです。4月29日まで、最終話の1つ手前まで無料公開しています。
ネタバレになるので詳しい感想は別で書きたいと思いますが、「誰かの役に立ちたい」「誰かに認められたい」という気持ちは誰しもが持つと思うのに、それがなあ…気の毒すぎるぜ…と思うなどしています。一番好きなのはボルツです。ゴーストも好き。


唐突に、最近聴いてよかった音楽
「Your Favorite Things」柴田聡子
今年リリースの作品。めちゃくちゃ良かった。全体を流れる空気、トーンが終始心地よいし、柴田さんの歌声も表現の幅があって素敵だし、曲のアレンジも全部良かった。白やオレンジの光に照らされる夜の水面をじっと眺めているような、そんな美しい作品でした。

「BADモード」宇多田ヒカル
先週くらいに初めて聴いて、まだちゃんと咀嚼していないのですが、それでもいい作品だなと身体が喜びました。彼女の音楽はトラベリングくらいまでしかちゃんと追っていなくて、それからCMで使われている曲を耳にするくらいだったんですが、こんなにすごい作品を世に出す人だったんですね…もしかして知らんのワシだけかな…。


仕事で不毛な気持ちになることはあれど、ぼちぼち頑張って生きています。
ぼちぼち頑張らないと生きていけないのが苦しいとこですね。
まあでも、フォスの苦しみに比べたらね...ハハハ...。
最終話、仕事が終わってじっくり味わいながら読もうと思います。

佳境 in the office

2024-03-06 17:41:59 | 日記
体調を崩しておりました。
年度末が近づき、ばりばり書類を片づけていた矢先の体調不良でして。
書類アレルギーか?と思っていたのですが、普通に熱が出ました。

めっきり酒に弱くなりました。
以前のような大きな気持ちで飲むと、確実に翌日に響きます。パフォーマンスが下がります。
しかも仕事が忙しいので、翌日に酒を残している場合でもなく。
必然的にセーブしながら飲むか、仕事が忙しい時期は酒を飲まないことになります。

でもそうなると気分転換がなあ。ジョギングするにはまだまだ寒いし。
美味しいものを食べるか、ピアノを弾くくらいしかないんですよね。
どこか遠くに行きたいよ、湯河原か宇都宮ぐらいの距離でいいので。
日常のなかの小さな喜びを見つけたいょ…花の美しさと儚さを吟じたいょ…。


うまく説明できないのですが、職場で佳境を迎えつつあり。
ここしばらく何とも言えない気持ちになっています。
1箇所は辞めるのですが、昨年そこの上司とケンカ、というか私が一方的に叱責される事態がありまして。

あんなに腹が立ったのは久しぶりの体験でした。
めちゃくちゃネチネチ言われたのを、今でも覚えています。
怒られているさなか、最初は「なんでそんな怒ってるわけ?」と思っていて、途中までは「いや、私は言われているほど悪くないと思うんだけど…」と思っていたのです。
しかし、説教が長引くうちに「これだけムチャクチャ言われるってことは、もしかして私がおかしいのか???」と思うようになってきて。まあ結構な傷つき体験となりました。人はこのようにして洗脳されていくのかな、と思ったり。

しかしながら。
先日、その職場で偉い人に呼ばれまして。
何かな~と思っていたら「あの人(私を注意した上司)にはなるべく仕事を引き継がないでほしい」と言われました。どうやら私以外の人ともきちんと揉めていたようで、対立が生じていると。その人に仕事を引き継ぐと面倒なことになると。
まあ、そうだよね…と得心する気持ちになったのです。


また別の職場の話。
今年度末に、私の所属部署で人が辞めちゃうのですが、有給をばりばり消化していて。
もちろん権利ですから、それを止めさせることはできません。ただ、仕事はそのままあるのに人が減る、となるとどうなるか。巡り巡って私が体調を崩すことになりました。残業したくないよ。

しかもですね。
その方は割と人の仕事に口を出してきたり、自分の正義感を人に押し付けたりしていて。
一緒に働き始めた頃は「こんなにモヤモヤするなんて、自分の心が狭いのだろうか」とか「批判を敏感に受け取り過ぎかな」と思い悩んでいたのですが、最後のあたりは「あー、なんかまた言っている。面倒くさいー」と感じるだけになっていました。「いい人」ではあるのですが。

でも。
あれだけ正義を語っておいて、こんなにスパッといなくなるんかい、と腑に落ちない気持ちもあります。
「その仕事のやり方は無責任だと思うんですよ!」「私だったらこうするのに!」と熱く話していたんだから、そのくらい言うなら責任をまっとうして欲しかった。なんで私だけ書類ばりばりさばかなきゃならんねん。


さて。上記の話に共通しているのは、私の「怒り」だと言えそうです。
頑張っているのに認められていない気持ち、蔑ろにされる気持ち、他人のしわ寄せを食らう気持ち。

人は助け合って生きていくというのも1つの真実ではありますよね。
それはわかるのですが、いい子ちゃんマインドだけではこの世は生きていけません。人には残酷な気持ち、他者を蹴落としてでも這い上がりたい気持ち、他人を心底妬む気持ちが多かれ少なかれ、プリセットされているので。
人からその気持ちを向けられたとき、あるいは人にその気持ちを向けたくなったとき。
そのときにどう振る舞うかが、その人らしさを表すようにも感じていて。
私ですか?酒に逃避した結果、ごらんのとおり体調を崩している愚か者です。


自分が合わないなと思う人と、どうやって仲良くしていくか…とまではいかなくても、揉めずにやり過ごして生きていくか。なるべくすり減りたくないんですよね。すり減ったわりに得られるものも少ないので。
春だし、『草枕』でも読み返すか。