先日、雨の中を、ある美術館に行ってきました。<o:p></o:p>
美術館は深い軒の出が印象的な建物です。この美術館は庭園も俗にいうと「売り」の一つです。<o:p></o:p>
今は新緑の真っ盛り、薄暗い展示室からでたホールのガラス越しの新緑はとても美しいものです。<o:p></o:p>
あいにくの雨なのですが、その分、緑は様々にあざやかな「みどり」を発揮しています。<o:p></o:p>
もしかしたら、晴天より少しの雨の方が、植物にとってはうれしい瞬間なのかもしれません。そんなみどりです。
そこで、ふと気づいたのですが。この建物は雨どいが無いのです。
軒先から、ぽたぽたと雨が落ちます。
それが、一層、庭の景観に変化というかリズムをつけているように感じます。
(雨がリズムをつけるのか、見ていて飽きないのです)
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さて、ということは、いきなり明日からの設計は、雨といなしとも行きません。<o:p></o:p>
特に東京の住宅では、隣地境界までいっぱいに建物を建てるということが求められます。その中で深い庇をつければ、仮に民法50cmの上に庇の深さだけ壁面を後退させることとなれば、土地の有効利用という面で課題が出ます。さらに庇は高さ制限という法規にも影響が大きいものです。
(民法の50cmの離れは外壁面であり、庇は除くという解釈もあります)<o:p></o:p>
庇は日照をコントロール(夏の日差しは避け、冬の日差しを導く)し、外壁の汚れを防止しと日本の風土には適しているのですが、東京という大都市は想定外だったようです。<o:p></o:p>
そのような中で、庇をつけない建物で樋をつけなければ、外壁の汚れは見るも無残になります。また隣のお宅まで雨水が入ってしまったりトラブルの元です。<o:p></o:p>
雪がそんなに降ることもない東京の家に、雪止めがついていることの不思議さも同様です。雪が隣地に入るのを防いでいるわけです。
都市で住む家を設計するのは、やはり情緒以外に重要なこともあります。<o:p></o:p>
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