電車は6時55分に高崎に到着しました。
上野から1時間42分かかったことになります。
筆者は山茶花が咲くシーズンになると、毎年3時間ほどかけて車で一般道を走り隣の前橋市に来ていますが、それに比べれば、あっけない程の旅のスタートでした。
17分の接続時間をもって、上越線の水上行き電車に乗り換えました。
上越線に乗るのも、70年弱の人生で全く初めての経験です。
上越線といえば、川端康成の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」の一節を思い浮かべます。
中学生の頃だったと思うのですが、本棚にあった川端康成短編集で「雪国」を読んで以来、頭に描き続けてきた光景に出会える期待に胸が膨らみます。
電車はしばらくして利根川を渡りました。
車窓右手にギザギザしたシルエットを見せる赤城山が白い夏雲をたなびかせていました。
電車は利根川の右岸から左岸へと、川を縫うようにはしります。
岩本駅付近では、綾戸ダムが堰き止める利根川が、モスグリーンの川面に山影を映していました。
そして電車は8時5分に後閑に停車しました。
筆者は後閑(ごかん)という地名を初めて目にしましたが、後閑の名は戦国時代に新田伊勢守信純が群馬県安中市の後閑を所領し、後閑氏と改姓したことに始まるようです。
しかし、ここは安中市とかなり離れたみなかみ町なので、この地が後閑と呼ばれる所以は謎のままのようです。
今回のような普通電車の旅は、見慣れぬ地名に出会い、その地名に思いを馳せることの楽しさを知りました。
水上に8時17分に着き、8時28分発の上越線長岡行きに乗り変えました。
水上駅を出た後、電車は9分ほどで土合駅に到着しました。
土合駅に到着すると、数多くの登山客が下車してゆきます。
土曜の始発電車なので、乗客の半分以上が土合で下車したようです。
土合駅は新清水トンネルの中にあって「日本一のモグラ駅」と称されます。
トンネル内のホームから地上駅舎までの高低差は70mもあり、地上に出る為に462段の階段を上るそうです。
しかし私はこの時点で、土合駅の構造を十分に理解していませんでした。
この記事を書くに当たり、ネット検索で知ったのですが、土合駅の地下ホームは新潟へ向かう列車の下り線専用で、上り線ホームは地上にあります。
土合駅の状況を説明する概念図を描いてみました。
群馬県水上と新潟県湯沢を結ぶ清水トンネルが開通したのは1931年(昭和6年)のことだそうです。
ウィキペディアの「清水トンネル」の項によれば、清水トンネルを挟む石打‐水上間は開業当時から電化されていたようです。
やっぱり、そうですよね。
蛇足ですが、実は川端康成の「雪国」(1935年から執筆)の外カバーに使われる絵の列車は全て蒸気機関車なので、煙を吐く蒸気機関車が長いトンネルを、どのように走り抜けたのか、常々不思議に思っていましたが、これで謎が解けました。
ま~しかしやっぱり、「雪国」を映像化するとき、電車でトンネルを抜けると絵になりませんよね。
ということで、1967年(昭和42年)に新清水トンネルが開通すると清水トンネルは上り(東京方面)専用、新清水トンネルは下り(新潟方面)専用となり、下り線の土合駅は新清水トンネル内に作られ、ホームから地上へ出るまでに高低差70mの階段を上ることになったそうです。
はい、これで長年の疑問は無事に解消されました。
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