函館駅を出た一両編成のジーゼルカーは、遠くに渡島半島の山脈を眺めながらネギ畑の中を北上します。
大沼駅が近づくと、車窓に小沼と駒ケ岳が見えてきました。
列車は8時11分に大沼公園駅に終着しました。
大沼公園駅は古き洋風建築の趣を漂わせていました。
玄関横の赤いポストがなかなかにチャーミングです。
駅前広場に大沼公園周辺のマップが掲げられていました。
大沼国定公園は駒ケ岳の火山活動によってできた大沼、小沼、蓴菜(じゅんさい)沼からなり、道南の景勝地としてよく知られています。
大沼公園で途中下車することは当初の予定にはなかったのですが、函館朝市で目にした海鮮丼が私を予定外の行動に走らせました。
当初乗る予定だった函館発長万部行き普通列車は、大沼公園駅を9時9分に発車しますので、1時間程の散策を楽しむことができます。
駅前広場を横切って大沼に近づくと、スワンボートが朝陽の中に群れ浮かんでいました。
池の畔に、枝から落ちた赤いスモモを見つけ口に含むと、甘酸っぱい果肉が唾液腺を刺激しました。
ミントグリーンに葉を茂らせたハマナスの実がルビーのような輝きを見せていました。
池の水面にコウホネが黄色い花を浮かべています。
遊覧船が発着する岸辺の小屋が銀色の輝きを放っていました。
池の畔に、新井満さんが大沼湖畔の別荘で『千の風になって』を作詞したことを記念するモニュメントを目にしました。
そのモニュメントから視線を上げると、大沼に浮かぶ小島の先に、白い雲と語り合う駒ケ岳の姿が見えます。
私は遊歩道の杭に、さきほど拾った、コリンゴのようなスモモを乗せて、小さなオブジェを作り、口を開かずに「いいね」と呟き、頬を緩めました。
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