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クリスマスでも「忠臣蔵・地の巻」

2006年12月25日 | ★ぐっとくる時代劇
内蔵助の、世間を欺く遊興三昧からの幕開け。

後半の見所は立花左近になりすました内蔵助が
江戸に向かう途中
本物の立花左近(片岡千恵蔵・二役)と鉢合わせする場面、
瑤泉院の前で心ならずも嘘をつくところ、
そしてクライマックスの討ち入り、と盛りだくさんである。
これらをバシバシ要所を押さえて魅せてくれる。

特に、対・立花右近の大見せ場は
今まで見た忠臣蔵映画の中でもピカイチであった。
睨み合うタメの長さも一番ではないだろうか。
千恵蔵と阪妻
まるで正月の凧から飛び出してきたような
立派な顔と顔(目張りは歌舞伎調)がアップで抜かれ、
緊張が走る。そして
男と男が言葉無しで心を通じ合わせる瞬間は
大変に感動的だった。

ハッタリの後の男の涙、
メリとハリのコントラストも実に鮮やかだ。
「武士の情け」を表すこのモチーフはそっくり
「弁慶と富樫」に当てはまる。
二人で「勧進帳」を演ったら、さぞかしウケたことだろうと思った。
(その場合、やっぱり阪妻が弁慶で千恵蔵は富樫がイイ)

また、瑤泉院(星令子)との面会後
「穢らわしい!」と畳に投げつけられた巻物から
見事に血判状が現れるタイミングもお見事。この場面で
妙に上手い腰元の親玉がいると思えば、沢村貞子であった。
きっぱりと口舌爽やかなのは若い時からなのだなぁ。

バンツマ内蔵助はしらばっくれ方もはんぱではない。
前編で、皆で切腹しようと偽って、家来どもの真意をぎりぎりまで探り、
遊郭で遊び世間を騙し、
立花右近本人が現れても堂々とでかい顔を崩さず
瑤泉院の前でもしらを切りとおすバックレ大臣なのであった!

討ち入り当日、
玄関のたたきに次々脱ぎ捨てられる下駄が臨場感をあおり、
猛々しいエイエイオーの大号令後は
蕎麦屋びっくり!」のお決まり場面で笑わせ、
江戸の町民が全員起きただろう、騒々しい出陣マラソン、
吉良邸の前では吹雪の中、
天を轟かすような陣太鼓を打ち鳴らすなど、盛り上げに盛り上げる。

ここでいち早く討ち入りに気づいた清水一角(淡路守と二役)のアラカンが
寝巻きのまま、走りながら袴をつけ刀をさす場面に、
演出が行き届いていると感じさせられ妙に感動した

このように
きっちりと細部を押さえた作りがクオリティの高さにつながるのだと
あらためて感じたことでございます。

忠臣蔵好き、時代劇ファンは必見!の面白さです。

1938年 
監督   池田富保
脚本   滝川紅葉
撮影 谷本精史
音楽 白木義信

* 映画の中のイイおんな*
星令子:瑤泉院を演じています。
この頃ものすごい数の映画に出ているお姫様スター。
細面で鉄漿もよく似合いぴったりの役回りです。
鉄漿、お歯黒って最近の時代劇では見られないですが、断然雰囲気でますね。
内蔵助をさげすむ場面では
美しい顔に険が走り、恐かったですけど。

■忠臣蔵 天の巻はこちら

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