ある所に、一人の可愛らしい少女がいました。
彼女は、自宅の部屋で日記を書いていました。
ちょっと中を読んでみましょう。
私は赤色が大好き。
太陽の赤。
トマトの赤。
情熱の色、赤。
暖かい家族の色の赤。
赤い物は私に元気をくれるの。
だから、私は今日もお日様のように元気に過ごすんだ。
クス、はずかしい。
今日から新しい学校に転校することになったけど、新しい学校でも皆と仲良く出来るかな。
楽しみだな。
皆とお話しようとしても、きんちょうしてお話出来ない。明日こそ、勇気出してお話してみよう。
大丈夫、皆とトモダチになるんだ。
どうして?
どうしてあの4人は私にイジワルするの?
お掃除の時間、雑巾で床をふいてたら、ホウキの棒が頭にぶつかってきた。
ちょっと血が出ちゃった。痛かったな。
トイレに行ったら、上から水をかけられた…。
せっかく買ってもらったお洋服、濡れちゃった…。
図工の時間の時、隣にいた男の子が遊んでたの。
その子が投げたカッターの刃で、私は手を切っちゃった。
すごく痛かったよ。
教室に入ろうとしたら、入口の所で何かが首に当たって、私は後ろに転んだの。
なんで?
なんでロープが張られてるの?
なんでいつもあの4人は私を見て笑っているの?
私、なにか…した?
一人になれる場所を見つけたの。
そこは本でいっぱいの場所だった。
休み時間はいつもここにいるんだ。
私は、いつも1人で本の中の世界にもう1人の自分を作りだすことが出来るんだよ。
今日は、『ふしぎの国』っていう本に出会ったの。
この本に出てくる女の子みたいに、亜梨沙も別の世界に行きたいな。
1人でいるときに、カッターの刃で指を切ったら血が出ちゃった。
痛い。痛いのは嫌。
でも……綺麗な色…。
やっぱり亜梨沙は赤が好き。
赤い血の色。
血を見る度に、全てを忘れることが出来るの。
ふふ、変なの。
あの4人の血の色が見たいな。
亜梨沙が見たいのは、苦しみながら流す血。
にくしみを込めた目をしながら流す血。
きょうふに満ちた目で流す血。
そうゆう血が見たいの。
亜梨沙は赤が好き。
一番好きな赤は血の色。
亜梨沙は赤が好き。
お母さんとお父さんが死んじゃった。
亜梨沙はしせつに行くんだって。
この学校ともお別れだね。
アリスはこの学校での思い出、忘れないよ、ずっと。
アリスは赤が好き。
真っ赤な血の色。
ふふふふ。