私がまだ幼稚園の年少組くらいの時の話です。
私の父の母の母(ひいばあちゃん)が亡くなりました。
ひいばあちゃんは80歳くらいで今でいう認知症でした。
最後のほうは私の事はもちろん
自分自身の名前すら分からなくなってました。
ひいばあちゃんの家は田舎のどこにでもあるような感じの大きな家で
庭もとても広いです。庭は山につながっていて
その山のふもとには 小さなお地蔵さんがいます。
そのお地蔵さんは ひいばあちゃんがまだ元気だった頃
雨の日も毎日欠かさず手を合わせにいくほど
とても大切にしていたそうです。
お葬式の日
今とは違ってお葬式場ではなく、家に人を呼んでお葬式をしていたので
私の母は大忙しで みんなに食べてもらうご飯の支度をしていました。
私は母に相手にしてもらえないので、一人で庭で遊んでいました。
すると、ふと気がつくと ボロボロの服を着た
年寄りのホームレスのお爺ちゃんがこっちに向かってきました。
お爺ちゃん「ずーと何にも食べてないんじゃ。食べ物をくれんかのー?」
私「ちょっと待ってて!」
私は急いでひいばあちゃんの家に戻り 急がしく
食事の支度をしている母にこの事を伝えました。
母は、白ご飯に塩をふって大きなおにぎりを2つ私に渡しました。
私は急いで庭にもどりホームレスのお爺ちゃんに
おにぎりを渡しました。
お爺ちゃんは何度も何度も私に頭をさげ
ありがとう。ありがとう。と言ってかえっていきました。
その日は何事もなくお葬式も終わり一段落し
私は母の車に乗って自分の家に帰る事になりました。
家に帰る途中 ひいばあちゃんが大事にしていた
お地蔵さんの前を通ります。
お地蔵さんの前には 私があのホームレスのお爺ちゃんに
あげたおにぎりが2つ綺麗に並べて置いてありました。