有名なアチェート バルサミコはエミリア・ロマーニャ州のモデナ県ととレッジョ・エミリア県で作られています。1500年代の最初には既に作られていたそうで、この辺りを治めていた貴族が作っていたバルサミコは門外不出で、貴族しか味わうことの出来ない、とても貴重な物だったそうです。
アチェート バルサミコには二つの規格があります。今回はモデナ産について書きます。
Aceto balsamico tradizionale di Modena(アチェート バルサミコ トラディツィォナーレ ディ モデナ)
モデナの伝統的に作ったバルサミコという意味で、ブドウはモデナ県で栽培され、ブドウの品種や糖度も規定されています。
材料はブドウだけで、他の物は一切使う事は出来ません。搾られたブドウは加熱して30-50%迄煮つませます。澱を取って木の樽に移します。木の樽は、それぞれ大きさの違う、大きい物(約100-75リットル)から小さい物(約10リットル)まで、樫、栗(色が濃くなる)、桑(濃縮を早める)、ネズ(樹脂の香りをつける)、桜(味をまろやかにする)で作られた樽が、順番に並べられています。
樽の材質の順番は製造する人によって違うそうです。
最初に大きな樽に入れ、翌年に減った分だけ、ひとつ小さな樽にそれぞれ移して行きます。その作業を繰り返して、最低12年熟成された物と最低25年熟成されたバルサミコが出来上がります。
そして、協会の資格を持つテイスターによって、沢山の項目をチェックされて、合格した物がアチェート バルサミコ トラディツィォナーレ ディ モデナとして、イタリアの有名な工業デザイナー、ジウジアーロ氏のデザインした100ml入りの容器に入れられて出荷することが出来ます。
以前テイスターの方とお話をする機会があったのですが、テストは3人で行われ、製造者の名前は知らされずに行われるそうです。合格したバルサミコは協会にも保存され、何かあった時に容器に書いてある番号を伝えると、問い合わせに答えてくれるそうです。
12年以上熟成のアチェート バルサミコ。値段は約6000円。
25年以上熟成のエクストラ ヴェッキオ。金色のラベルになります。どちらにも原産地名称保護制度、 DOP のマークがつきます。100キロのブドウが、25年後には1リットルのバルサミコになってしまうそうです。値段は約1万円。
もう一つは、バルサミコが有名になって、粗悪品やまがい物が出るようになり、高価な伝統的なバルサミコではないけれども、気軽に確かな物を味わうことが出来るようにと、出来たのが
Aceto Balsamico di Modena(アチェート バルサミコ ディ モデナ)、モデナのアチェート バルサミコという意味です。指定されたブドウ(産地は決められていないようです)を煮詰めた物が20%以上、10パーセント以上のワインビネガー、10年以上熟成のワインビネガーに、2%以下のカラメルを混ぜた物を、60日発酵させ、木の樽で最低三年熟成されたものです。製造はモデナ県とレッジョ・エミリア県に限られます。ブドウの比率と熟成期間が長い程美味しくなりますが、値段も高くなります。
Aceto Balsamico di Modena(アチェート バルサミコ ディ モデナ)。Indicazione Geografica Protetta(保護指定地域表示あるいは地理的表示保護)のマークがついています。値段は数百円から。
スーパーには色々なタイプのバルサミコが売られています。
それ以外の物は、バルサミコタイプの調味料になり、砂糖や糊料が添加されています。