平成31年度予算概算要求が8月末で締め切られ、各省庁はそれぞれ要求額と重点予算事業を発表した。水産庁は「新たな資源管理と水産業の成長産業化」に取り組む水産改革の推進予算として3,003億円を要求。前年度当初予算に比べ1.7倍、17年ぶりの3千億円規模の予算実現をめざす。
齋藤健農林水産大臣は「水産分野においては、本年6月に水産政策の改革を決定しており、新たな資源管理と水産業の成長産業化に重点的に取り組み、政策を実行するために必要な予算を具体化して要求した」と記者会見で述べ、長谷成人水産庁長官は自民党水産部会・水産総合調査会の合同会議で「水産改革に対する本気度が浜に伝わる予算をつくった」と説明した。水産改革に伴う法改正は「漁業者や関係団体からの要望を十分に聞き」早ければ秋の臨時国会に法案を提出する意向だ。
このうち、新規の「新たな資源管理に適合した操業体制の確立」に62億円を計上し、TAC対象魚種の拡大、IQ導入等新たな資源管理措置への移行に伴う減船・休漁措置を円滑に実施するため、影響を受ける漁業者や加工業者を支援する。また「沿岸漁業の競争力強化」に308億円を計上し、漁業所得の向上を目指す漁業者による共同利用施設の整備、密漁防止対策、浜と企業の連携の推進など浜プランの着実な推進、浜の構造改革に必要な漁船、機器等のリース方式による導入を支援する。内訳は「浜の活力再生・成長促進交付金」に123億円、「水産業成長産業化沿岸地域創出事業」185億円がいずれも新規で盛り込まれた。漁船リースや機器導入は従来の補正予算から当初予算に移行された。527億円が計上された「漁業経営安定対策」の内訳は、「漁業収入安定対策事業」229億円(114億円)、「漁業経営セーフティーネット構築事業」172億円(2億円)。さらに漁協の合併等の支援も行う。