道総研中央水試はこのほど「石狩湾系ニシン」平成30(2018)年度漁期の漁海況、資源動向などの総括を調査結果に基づきまとめた。昨秋から今年4月末までの石狩湾系ニシンの漁獲量は1,854㌧で、前年度に比べ74%と減少したが、一昨年の2016年度と同程度を維持し「2008年度以降の高い水準の範囲内」と評価している。主群は4年魚(2015年級)、5年魚(2014年級)が中心となったが、期待された3年魚(2016年級)は来遊遅れで、漁獲が伸びなかったが現時点で「豊度は高い」と判断している。
漁獲状況は、小樽市など後志沿岸,石狩市沿岸ではいずれも前年を下回ったが、沖合域の混獲(沖底、えびこぎ、沖刺し)では前年を上回った。留萌・宗谷でも近年では多い41㌧の漁獲があった。
漁獲物の年齢構成(尾数)は、4年魚が40%、5年魚が35%、次いで3年魚が12%となり、全漁獲尾数は前年度の69%にとどまった。3年魚が少なく、5年魚の比率が高かったことから、平均体重は294gと前年度(276g)よりも大型だった。
漁期は、今シーズンは2月上旬以降に漁獲が急増し、2月上旬〜中旬にピークを迎え、3月に入っても例年より多くの漁獲があった。石狩湾漁協石狩支所は3月10日をもって操業を切り上げた。1月に漁獲がなかったのは、メスの卵巣の成熟の遅れが考えられ、漁期を通じて5年魚、4年魚主体で来遊し、各年級の来遊が後にずれた。結果的に3年魚の来遊も3月中旬以降となり、漁獲は予想したほど多くなかった。しかし、石狩湾漁協石狩支所の切り上げ後にニシンの大量来遊の情報も寄せられ、漁期終了後にも産卵来遊が続いていた可能性を指摘している。
漁海況は、漁期1か月前の12月の水温が高かったため、高水温がニシンの成熟の遅れに影響を与えていた可能性がある。
資源状態と来漁期の見通しは、 今後の来遊を支える2016、2017年級は稚魚調査で多く採集され、来遊が遅れた3年魚の豊度も高いと考えられる。
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