秋サケ、サンマ、イカなど歴史的な不漁に直面する北海道漁業。
こんな時こそ「未来志向」の取り組みが求められます。
今月の表紙は、復興を遂げた「塩竃市魚市場」にお邪魔し、
「三陸塩竃ひがしもの」のメバチマグロ産地として知られる塩竃の
復興のシンボルとなる素晴らしい市場の様子をお伝えしました。
観光客、消費者にも配慮したアメニティあふれる施設です。
令和元年度秋の叙勲
梶川博前ひだか漁協代表理事組合長に旭日単光章の栄
秋サケ沿岸漁獲速報(10月31日現在)
道1,434万尾・74%、網走590万尾・66%、岩手16万尾・21%
道東太平洋のサンマ水揚げ好転
10月末で全国2万㌧、道内1万5千㌧
花咲など1日1,000~1,500㌧のペース続く
道南太平洋スケソウ(10月末)
渡島、胆振で5,600㌧と前年同期の2倍
道立漁業研修所 令和元年度総合研修修了式
47名が半年間の総合研修を終え漁業の現場へ
道猟友会に日本海漁業振興会議、道漁連、道が要請
採捕枠の消化、被害軽減のためトド駆除への協力求める
自民党政策懇談会(札幌)で改革に注文
川崎道漁連会長が「新しい資源管理に納得できない」
本道沿岸に来遊する秋サケの定置網による漁獲量は、10月末で約1,434万尾と前年より25%上少なく、主産地の網走管内が34%減と大きく伸び悩でいる。本州でも岩手県でいぜん8割減の大不漁が続いている。道漁連の日報でも4万2千㌧台にとどまり、最終的には5万㌧を切る歴史的な減産となりそうだ。
道連合海区漁業調整委員会によると、10月31日現在の秋サケ漁獲は全道で1,433万7,770尾と前年同期の74.3%。不漁だった前年同期を496万尾下回っている。漁獲金額は268億4,619万円と同65.9%。魚体の小型化は今年、大きく回復しているが、大不漁にもかかわらず、価格は下落している。
網走海区漁業調整委員会によると、10月31日現在の秋サケ漁獲は589万5,043尾で、前年同期の66.1%。重量は2万272㌧で同72.7%。金額は116億405万円で同58.1%。平均目回りは3.44㎏、単価は572円/㎏。
岩手県農林水産部によると、岩手県沿岸の秋サケ漁獲は10月31日現在で15万9千尾(前年同期比21%)、471㌧(同23%)、2億9,500万円(同25%)で、平均単価は767円/㎏(同107%)、平均目回り2.95㎏(同112%)となっている。
10月26日自民党道連政経セミナーに先だって開かれた政策懇談会で、川崎一好道漁連会長は、森山裕TPP・日EU・日米TAG等経済協定対策本部長らに、サンマなど主要魚種の不漁対策の必要性を訴えるともに、国が先行導入を検討しているホッケやスケソウの新しい資源管理システムについて、改めて浜の実態に合った対応を求めた。特に「水産政策の改革自体には賛成だが、法案通過後にいきなりホッケ、スケソウの新資源管理が出てきた。漁業者は納得できない」と浜の意向をくみ入れた対応を強く求めた。
これを受け、伊東良孝農林水産副大臣は「水産改革は規制が本来の目的ではない。漁業者の将来につながるよう対応する」、森山本部長は「消費者のためにも不漁対策は必要だ。長期的な展望を持ちつつ取り組むことが必要」と答えた。
10月25日には札幌市水産ビルで、地区漁協組合長会会長会議(議長・岩田廣美胆振区会長)が開かれ、水産庁の神谷崇資源管理部長がホッケ、スケソウへのMSYによる資源管理目標やTACの設定などへの理解を求めた。関係地区や全道レベルでの説明会など入口論議で難航し、地区組合長側はこれまで道漁連が水産庁と交わしてきた文書でのやり取りをもとに、「浜が納得しない限り導入しない」との誓約を求めたが、物別れに終わった。
来年1月の地区漁協組合長会会長会議で、再度議論することになった。すでにTACが設定されている日本海北部スケソウや太平洋スケソウの取り進めを先行させ、TAC導入に反発の強いホッケは「別扱いでやらざるを得ない」状況にある。