やまじゅん通信 “きょうのヤマ場”

日本共産党前神戸市会議員 山本じゅんじ WEB通信

温室効果ガス削減、どこまで本気?

2020-12-03 | 日記・エッセイ・コラム

12月1日、神戸市は、2050年温室効果ガス排出実質ゼロに向けて表明文を公表!…と評価しようと思ったのですが、内容をよくみるとどこまで本気なのか???と疑わざるをえないようなものでした。
非常に残念な思いで読みました。
まず、表題が「CO2実質排出ゼロ」となっていること。なぜCO2と限定しているのか?と先日の福祉環境委員会で聞くと、市民へわかりやすくアピールするためなのだそうです。市の施策でクールチョイスというのがありますが、市民に意外と浸透しておらず地球温暖化への取り組みへの理解を広げたい、わかりやすくするためにCO2に対象を絞ったというものでした。ま、そういうことならわからないでもない。でもそうならば、表明文そのものが市民向けだけのものになってしまわないか?と思うのです。地球温暖化対策は、市民だけでなく産官学含め、みんなで一丸となって取り組むべき課題のはず。なんだか国に追随して、アリバイ的に慌てて表明した感がとても強く感じられてしかたがありません。
CO2と特定せず、きちんと温室効果ガスと表明すべきです。そのうえで具体的な取り組みをすすめるために、専門家や有識者なども交えて継続的に議論し、神戸市の実施計画の策定に取り組むべきではないでしょうか。
もう一点思うのは、水素エネルギーやブルーカーボンなどというものを持ち出してきたことです。なにかやってる感を出そうとしているのか、意図はわかりかねますが新しいことを打ち出せばいいのかというとそうではないと思うのです。
水素エネルギーは、自然エネルギー由来のものなら理解はできるのですが、神戸市のいう水素は、褐炭という低質な石炭由来のもの。理解できません。
困ったことにこの「神戸市の」水素は、生成過程で大量のCO2の発生を伴います。オーストラリアで水素をつくって、副産物のCO2は、CCSという技術をつかってオーストラリアの海底地盤の奥深くに埋めてしまおうというシロモノなのです。船で運ぶというわけですから、まるで石油から置き換わっただけのものにしかなりません。さらに水素はCO2を出さないといいますが、作る際にCO2を出してしかもそれを捨ててくるのですから、どこが持続可能なのか、なにが環境に優しいのかさっぱり理解ができません。
ブルーカーボンは、最近注目されはじめてきましたが、まだまだ確立されたものとはいえず研究段階。CCSも確立されたものとはいえず、このような未確立のものを全面に押し出してアピールするというのでは、どこまで本気なのですか?と疑わざるをえません。
神戸市では、神鋼火力発電所が立地。さらに増設も計画されている最中です。
神戸市の地球温暖化防止対策をすすめる上では、神鋼の協力は不可欠。
市民だけでなく、産官学も広く巻き込んで継続的に議論し、みんなが課題を共有してそれぞれが取り組めるようにしていくことが必要と思います。
残念ながら、今回の神戸市の実質ゼロの表明は評価することができません。