別れたあとに
見つめているだけだった
あけ広げたショール
そよ風になびく産毛
よこたわるカモシカ
押しよせる砂塵
三辺をむすぶ消失点の奥に
追いもとめている眼
ヒビではない
結びつきである
ちりぢりになった破片を
パズルのようにはめ込んでいく
線は線とならず
なだらかな面となる
離れるのではない
繋がっていく
固くしなやかな結びつきを
春はまだいるだろうか
桜の知らせにも出かけられず
忙しかったわけではないけれど
逢いに行くのが怖かった
いずれ別れてしまうときの
はなれてゆくときの
まだ間に合いそうだ
すうっと息を吸う