展覧会場で遭った女が忘れられなくて
いまだときどき思い出している
もう何十年も前のことだ
あなたはモデルらしかった
上背のあるふくよかな肢体
モディリアーニを好む聡明な面立ち
神を信じて画を描くの
そのとき私はなにも信じられなかった
自分さえも
離婚 留学 転職 一通の手紙
引き留められなかった心残り
庭の柿の葉が色づくと
すこしセンチになる
もう 秋なのか
そう思っているうちに
あっという間に葉も実も落ちてしまい
すでに枝があらわになっている
父がいつも柿を楽しみにして
床の間から眺めていたのを思い出す
今年は虫食いで不作だった
(11.10撮影)
はじまりは混沌からだった
生まれる苦しみと未来が同居していた
宇宙や生命や恋
円形はそれらを境目なく結びつけた
人々はその道を往還し
歴史が始まった
それは永遠でもあるのだろうか
球体にはなにかが内包されている
それは自由であるが 今は動かない
立冬電気暖房器具炬燵枯葉落葉銀杏日暮
加湿器更衣霜月文化七五三解禁勤労感謝
紅葉神楽月霜降手袋甘柿小春日和金木犀
鱗雲肉饅収穫温泉恵比須講大根不定愁訴
枯草初雪喪中食欲防寒上毛三山読書芸術
秋空吾亦紅忘年会約束懐炉準備予防接種
今秋の我が家の柿の実は
シブ柿ばかりだという
だから干し柿にするのだという
秋になると母はこうして
干し柿や干し芋をせっせと作る
母はいつ甘くなるのか知っているが
ぼくはなにも知らないから
ただ柿の実がぶら下がっているのを
毎年眺めては
いつも豆な母にすこし安心したりしている