君に話そうとしていることの
十分の一だけ
君と話そうと思う
なぜって
話したいことの全部を
話そうとしても
ふり返ると必ず
十分の一くらいしか
伝えられなくて
もどかしい思いばかりだったから
君と僕の口喧嘩や
あるいは僕が
一方的にまとめてしまって
お互いに気まずくなってしまったことは
何度もあったけどね
けれど気がついたのさ
僕たちの間には言葉が多すぎて
肝心なことが伝わっていなかったことを
言葉を繕うために
どうでもいい言葉ばかりが
行き交っていたことを
だから始めから
十分の一くらいを
話すつもりで
君に会えば
本当に伝えたいことだけを
選んで話せるのではないかと
そう考えたのさ
ただ話し好きの君には
物足りなくて
つまらなくて
退屈かもしれないけどね
そうしたら
二人で電車に乗って
初めての風景でも
無言で眺めに行こうじゃないか