写詩之日々

写真と詩を載せています。

食欲

2015-01-29 17:29:32 | ポエム・写真


一月はひどかった

収支表をひらくと

食費代がかさんでいる

寿司 餅 蜜柑 焼き芋…

コレステロールが心配だ

けれど止められない

寒さに耐えるには

人のぬくもりよりも

食への貪欲だ

抜けおちた身体を横たえて

ぬくもりよりも現実だ

ながいながい冬の夜


源流

2015-01-28 14:45:08 | ポエム・写真


 あの山を登るにはカーブして

 回り道をしながら
 
 山頂にたどり着くの


源流をたどって

指先は分け入るように

遡上した


ここはどこだろう?

ナビゲーションは位置を示しても

過去まで見はるかせない

どこかにあるはずだ

幼子のように歩きはじめた一滴が


答えは整っている

その問いかけを

ふたたび辿らなくてはならない


冬景

2015-01-13 15:49:36 | ポエム・写真


早朝の覚醒にざわつき

二度寝すると

気がつけば午後の二時

おそい昼食


よじれた時間と肉体に

どう向き合うべきか

暮れていると

冬の陽は

上がりの照射をいっそう鮮明に

樹枝の身をあらわにする


立ち向かうための意志に

ならぶのは垂線いくつもの

天を射し

ゆれては刺し


元旦

2015-01-08 01:21:20 | ポエム・写真


三百六十五日のはじまり

冷えこんだ食卓

曇っています

配達された年賀状は

とどかない人が気になり

駅伝走者

ふりしぼっています

心配が宙に浮かんでは消え

でも

目覚めと眠りが

つまずかずにくり返されるのなら

今日一日の

変わらない時間が

とても静かです


ハルミ

2015-01-05 17:43:22 | ポエム・写真


榛名山がよく見えるから

店名を”ハルミ”ってつけたのよ

雑貨屋の女性店主が

たばこのショーケース越しに

いつだったか話していたことがある

てっきり苗字につづく名前かと思っていたので

ぼくはそのとき意外に思ったものだ

昨秋九十九歳で亡くなったのを

おくやみ欄で知った


一望に見わたすと

専門病院や高齢者施設 鉄塔などが点在し

その切れ切れから

榛名山は見えるだけになった

店の看板は文字が

すこし欠けはじめたが

いまでも細々と開いている 


坂道を登りきったあたりで

榛名山を眺めている女性がいる