木々のそよぎに
いっとき心身をさらす
大通りから離れた場所に
ループやシーソーはない
ベンチは傾いている
今どき公園は流行らない
家族が少ないからか
それともゲームに夢中か
ようやく辿り着いた秘密の場所
ひとときの休息
些事はもう忘れよう
葉ずれの音に満たされていく
高架橋の下をくぐる
冷気がひんやりと忍び寄る
人の気配はなく
男女の抱擁らしき影
向こうからゾンビ
ドミノ倒しのように
塀が重なっていく
突風に押される
はやく抜けだすのだ
頭上では悪夢のシナリオを
再現するための
轟音がひっきりなしに
言葉でリハビリをしよう
花瓶を美しく形容するのも
記号に意味をつけるのも
言葉のお陰だ
けれど
言葉ほど当てにならないことを
ぼくはなんとなく気づいている
気まぐれな恋人よりも気まぐれに
一言一句に振り回されている
歯がゆさをを覚える
ぼくの存在さえも
言葉のお陰だから
もはや観念するしかないな
生き続けるために言葉を産む
いつか愛する貴方の名前を呼ぶためだ
それが心のリハビリ
少しの沈黙も含めてね