写詩之日々

写真と詩を載せています。

電動車椅子走行記

2017-09-10 00:03:48 | ポエム・写真


電動車椅子がやって来た

嬉しくなって直線の道を突っ走った

アップダウンの坂道を飛び越えた

小石の悪路を撃破した


コントローラーに力が入る

風が頬を切り裂く

タイヤから何千年かの起伏が

はらわたに響いてくる

生きてるってことかな


隣町の女性に会いに行こう

悪友と未来の計画を企てに行こう

あいつはまだ寝たきりか

バッテリー残量はまだいっぱいだ

電動車椅子のパレードをしよう


らしさ

2017-09-06 02:58:06 | ポエム・写真


ウィンドウ越しに眺める姿

田園を背景に

ひん曲がって

妙なプライドが

電柱の高さまで出っ張っている

私らしさとは何だろう

差異とかマイノリティとか

妙な言葉がまとわりついて

らしさを求めてきたが

それは虚構であった


森の茂みに

交通の行き交いに

紛れて溶けこんで

健全な物体に映るのを

いつか嬉々として見つけるだろう



初秋の走行

2017-09-03 23:53:28 | ポエム・写真


濃いめの鉛筆で

秋と書く

なにも感慨はないのだけれど

秋の雲にどう答えたら良いのか

いまは戸惑ってしまう


風景とは

きっと風に乗ってやって来る

私の想いと重なり

だれも見たことのない風景が

私の中に広がっている

人はそれを秋にして

いよいよ華やぎの季節へ


背中が痛む

ハンドリムに滑りをまかせて

私の季節を乗り越えていく