写詩之日々

写真と詩を載せています。

空き地

2023-10-08 03:13:38 | ポエム・写真



寂寞とした空き地に
秋風の吹く
乾いた砂塵に
眼をこする

いつのまにか家が消えた
浮かんできたのは
家族で囲んだ食卓だ
ばあさんやじいさん
よんちゃん
たかちゃん
よしおちゃんは何処へ行ったのだろう
母は相変わらずほっかぶり
猫のチコが魚をくわえる

屋根裏から見た雲
大きな虫や小鳥たち
モノトーンのテレビも
みんな友だちだった
空想が湧いていた
僕のメリーゴーランド

はじめは
僕たちが借りていただけだ
空き地は顔をかえて
もとの空き地に戻っている
消えたみんなも
いつか戻ってくる
空き地はなにも答えない


哀しみの習い

2023-10-02 03:04:26 | ポエム・写真

この哀しみは
どうしたものだろう
せつない哀しみ
底知れぬ哀しみ
荒涼とした哀しみ

どんな言葉をつかっても
言い表すことが出来ない

今までの悲しみは
嘘っぱちの哀しみだった
だれかの哀しみを
写したのに過ぎなかった
枯木の姿を
哀しみと決めつけていた

しかし本当の哀しみは
沈んでいくだけだった
なにも言葉が生まれなかった
そこにあるのは
哀しみの習わしだった

人間はいままで本当の
哀しみを書くことが出来なかった
それでもまだ
哀しみを
書きつづけようとしている