寂寞とした空き地に
秋風の吹く
乾いた砂塵に
眼をこする
いつのまにか家が消えた
浮かんできたのは
家族で囲んだ食卓だ
ばあさんやじいさん
よんちゃん
たかちゃん
よしおちゃんは何処へ行ったのだろう
母は相変わらずほっかぶり
猫のチコが魚をくわえる
屋根裏から見た雲
大きな虫や小鳥たち
モノトーンのテレビも
みんな友だちだった
空想が湧いていた
僕のメリーゴーランド
はじめは
僕たちが借りていただけだ
空き地は顔をかえて
もとの空き地に戻っている
消えたみんなも
いつか戻ってくる
空き地はなにも答えない