写詩之日々

写真と詩を載せています。

ビバ・モナリザ

2024-01-15 05:30:21 | ポエム・写真

右眼と左眼は
それぞれ別のものを見ている
一つに合わさると
まったく違う形になる
という原理は本当らしい

私の二重人格は
右と左が合わされば
立派な一人の人格者となる
ただいつもズレているので
ぎこちない虚像だ

しかし誰も本当の私を
知る人はいない
誰も疑わない
二つの楕円形は
少しズレててちょうど良い

モナリザの前に佇立する
何人目の虚像か
塞がれた微笑み
モナリザはいつまで経っても
焦点が合わさらない


憧憬Ⅱ

2024-01-11 00:57:21 | ポエム・写真

いつまでもいい子でいてね
聖母の花びらは
面影の彼方
もう戻らない

えらかったね
錆びついた童心に
ふくよかな肌は
たゆたう

追いかければ
かすれていく残影に
あどけない一日が
積み重なった

見晴るかせば
原初の風に
包まれている
もう帰れない


音信

2024-01-02 21:01:37 | ポエム・写真

 この正月も数枚の年賀状を書いた。すっかり届く
枚数も減り、そのぶん返信する枚数も減った。貰う
のは嬉しいが、出すのが億劫な自分には複雑な心境
だが、人付き合いの苦手な私には年に一度、知己か
らの音信を得る唯一の機会ともいえる。

 永く続いているのは学生時代の同級生や仲間だが、
会った事はないが賀状だけの交換という人もいる。
あるいは何度か遣り取りはあったが、自然消滅のよ
うになった人もいる。何年も無沙汰していた奴が、
珍しく送って来たときもある

 それぞれの人間関係は必ずしも画一的ではなく、
何らかの想いが含まれていて、賀状という虚礼に場
を借りて、その繋がりに安堵したりする。

 ところで九十五歳になる母にも五枚の年賀状が届
いた。返事はどうすると聞いたら、もう書かないと
いう。昨年、仲の良かったただ一人の同級生の女性
が他界し、ずいぶん落胆していたようだったから、
何か想うところがあるらしいけれど、私には推測は
出来てもはっきりとそれを語ることは出来ない。

 メールが普及したせいか年賀状が少なくなったと
聞く。私もいつか年賀状は止めようと決心する日が
訪れるのだろうか。そのときの理由は何なのか。案
外大した理由もなく、ただ単に面倒になったときか
もしれない。もう少し先のことになるとは思うが。

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・2024年1月1日に発生した「能登半島地震」に遭われた方々のご無事と、一刻も早い復旧を願っています。