写詩之日々

写真と詩を載せています。

みる

2021-05-31 03:15:21 | ポエム・写真

まなこは
意思とはかかわりなく
目のまえを映していた

網膜は
木の葉を折り紙に
あるく人を
ぜんまい仕掛けの
玩具にした

見るよりも考え
考えながら見ていた
記憶の風景を
重ねあわせた
いつも出来合いだった

一輪の花は
華麗にも汚泥にも
現れるだろう
みる一心で
ここだけの風景にして


触れる

2021-05-19 02:13:08 | ポエム・写真

言葉より先に
触れる
そこに意味はなく

触れる 駆られて
触れる たわいなく
そうしたいから
とまどう指先で
深部をさぐる

分け隔てるものに
触れたとたん
水琴窟へ吸い込まれていく
血流が欲している
真実の在りかへ

音や水に触れる
あなたに触れる
見えるもの
見えないもの
みな溶けあっていく


寂しんぼうブルース

2021-05-04 23:06:16 | ポエム・写真

寂しさはどこにある
一輪の花や部屋の片隅
ただ眺めているだけだったのが
ある日
寂しいと口にしてから
毎日寂しくなった

寂しさは
どこにでも現れ
モンシロチョウのようにつきまとう
周りからうとましがられる
それでいてみんな
ポケットの中に抱えている

寂しいと
あなたがいうから
私はそうだねと言った
寂しさはのんきに寝転んでいる
たわいのない奴
空のように手放せない

寂しくない人生なんて
生きてることになりゃしない
おーい、寂しさよ
君の歌をうたうよ
ぼくの夢の中へ
入っておいでよ


追憶

2021-05-03 19:29:41 | ポエム・写真

それは思い出
いつも増えつづけている
寂しさや辛さを背景にして
少しずつ
お化粧や調度品をしつらえて
黄昏に染める

昨日のことよりも
とおい過去のこと
記憶は文字の中だけに
思い出は心の中に
新しい風景となって
日々を取り囲んでいる