まなこは
意思とはかかわりなく
目のまえを映していた
網膜は
木の葉を折り紙に
あるく人を
ぜんまい仕掛けの
玩具にした
見るよりも考え
考えながら見ていた
記憶の風景を
重ねあわせた
いつも出来合いだった
一輪の花は
華麗にも汚泥にも
現れるだろう
みる一心で
ここだけの風景にして
まなこは
意思とはかかわりなく
目のまえを映していた
網膜は
木の葉を折り紙に
あるく人を
ぜんまい仕掛けの
玩具にした
見るよりも考え
考えながら見ていた
記憶の風景を
重ねあわせた
いつも出来合いだった
一輪の花は
華麗にも汚泥にも
現れるだろう
みる一心で
ここだけの風景にして
言葉より先に
触れる
そこに意味はなく
触れる 駆られて
触れる たわいなく
そうしたいから
とまどう指先で
深部をさぐる
分け隔てるものに
触れたとたん
水琴窟へ吸い込まれていく
血流が欲している
真実の在りかへ
音や水に触れる
あなたに触れる
見えるもの
見えないもの
みな溶けあっていく
寂しさはどこにある
一輪の花や部屋の片隅
ただ眺めているだけだったのが
ある日
寂しいと口にしてから
毎日寂しくなった
寂しさは
どこにでも現れ
モンシロチョウのようにつきまとう
周りからうとましがられる
それでいてみんな
ポケットの中に抱えている
寂しいと
あなたがいうから
私はそうだねと言った
寂しさはのんきに寝転んでいる
たわいのない奴
空のように手放せない
寂しくない人生なんて
生きてることになりゃしない
おーい、寂しさよ
君の歌をうたうよ
ぼくの夢の中へ
入っておいでよ
それは思い出
いつも増えつづけている
寂しさや辛さを背景にして
少しずつ
お化粧や調度品をしつらえて
黄昏に染める
昨日のことよりも
とおい過去のこと
記憶は文字の中だけに
思い出は心の中に
新しい風景となって
日々を取り囲んでいる